火災のルネサス那珂工場は予定通りに生産再開、大半の設備が4月中に調達完了へ : 車載半導体
ルネサス エレクトロニクスは2021年4月19日、オンラインで会見を開き、ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で発生した火災からの復旧状況について説明した。
ルネサス エレクトロニクスは2021年4月19日、オンラインで会見を開き、ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で発生した火災からの復旧状況について説明した。
火災は2021年3月19日午前2時47分、300mmウエハーの生産ラインであるラインN3棟1階の一部工程で火災が発生、同日午前8時12分に鎮火した。出火元はN3棟の1階にあるめっき装置で、過電流が発生したことで発火に至った。人的被害や工場の建屋への被害はなかったが、N3棟1階のクリーンルーム1万2000m2 のうち5%に相当する600m2 が焼損した。
2021年3月末の時点では、火災から1カ月以内にクリーンルームを復旧させて生産を再開すること、4月末までに必要な製造設備が調達できれば、5月下旬から残存する仕掛品を製品出荷できることを見通しとして示していた。当初の見込み通り、火災から1カ月以内となる4月17日に生産を再開。また、焼損した製造設備の調達はほとんどが4月中に完了できるメドが立った。当初は納期が5月以降、納期未定だった製造設備が少なくなかったが、大半が4月中に繰り上がった。また、一部の設備はすぐに調達できなくても、既存の装置の能力増強や、代替生産によって当面は生産能力を回復できることが明らかになった。
製造設備調達の見通し(クリックして拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
現在、火災前の10%程度の生産能力で稼働しているが、4月23日までに火災前の30%、4月中に火災前の50%まで段階的に引き上げる。5月中に火災前の水準まで生産能力が回復する見通しだ。なお、製品出荷の回復は、3月末の想定よりもやや後ろ倒しとなる。製造装置の立ち上げに当たって不具合への対処や部品交換、洗浄などを継続しており時間を要している。ルネサス エレクトロニクス 代表取締役社長兼CEOの柴田英利氏は「もともとが野心的なスケジュールだった。想定外の後ろ倒しではない」とコメントした。
製品出荷の回復の見通し。青いラインが今回発表した予測で、当初の見通しである赤いラインよりもやや後ろ倒しとなる(クリックして拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
社内外での代替生産は、当初の見込みよりも早く立ち上がり、出荷量の回復遅れをカバーする。また、2カ月分を代替生産する場合について、生産能力の増強などにより外部で製造可能な量が当初よりも増えた。停電が発生した代替生産先もあるが、供給に大きな影響はないとしている。
火災の根本的な原因は現在も特定できていない。火元となった設備と同じ機能のめっき装置は3台が焼損し、4台が残っている。火元となった設備とは異なる電源配線構造を採用し、今回と同じ原因での発火を防止するという。また、CO2 消火器も導入する。火災報知機や煙、熱のセンサーと連動させ、6月以降は自動で消火機能が作動するようにしていく。
めっき装置の火災対策(クリックして拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
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ルネサス那珂工場は「順調に復旧」、出荷量が火災前に戻るのは6月末か
ルネサスエレクトロニクスは2021年3月30日、オンラインで会見を開き、ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリングの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で発生した火災の影響について説明した。
コロナ禍で止まった世界中の自動車生産、改めて考えたい「BCP」
このコラムでは、自動車業界に勤めている人にとっては当たり前だけど、他業界の人からするとさっぱり分からない、自動車業界専門用語を幅広く分かりやすく解説します。用語の意味だけでなく、業界全体の動向を絡めて説明していきたいと思います。記念すべき第1回目は、現在コロナ禍でも非常に重要な役割を果たしている「BCP」です。
寒波や地震の中でも4社が前年超え、2021年2月の新車グローバル生産
2021年2月の自動車生産は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が与えた影響からの回復が鮮明となる一方で、半導体の供給不足に加えて、地震や寒波など相次いで発生した自然災害が水を差す格好となった。
利益面の改善進むが半導体で売上高に明暗、自動車メーカー各社の通期見通し
トヨタ自動車が2021年2月10日、2021年3月期第3四半期(2020年4〜12月期)の決算を発表し、日系乗用車メーカー7社の業績が出そろった。2020年4〜12月期は全社とも減収だが前年同期と比べて15%減から42.8%減まで開きが大きい。営業損益は7社中3社が赤字となった。
新型コロナからの新車生産の回復に水を差す、半導体不足の影響
自動車生産に半導体の供給不足の影響が広まっている。日系乗用車メーカー8社が発表した2021年1月のグローバル生産実績は、トヨタ自動車、日産自動車を除く6社が前年実績を下回った。なかでもSUBARU(スバル)は半導体不足の影響が大きく、前年同月比で3割近い減産を余儀なくされた。
半導体の供給不足、トヨタとルネサスはどう見ているのか
おはようございます。1週間乗り越えましたね。お疲れさまでした。先週の小欄にてApple(アップル)の自動車参入についてつらつらと熱く語ったのですが、現代自動車や起亜自動車との交渉が決裂したとの報道が出てきました。交渉の内容が世に出てくることはないのでしょうけれども、どんな条件が提示され、どの部分を飲めないと思ったのか、気になってしまいますね。
半導体の供給不足の状況を調査、自動車だけでなく産業用機器への影響も広がる
MONOist、EE Times Japan、EDN Japanのアイティメディア製造業向け3媒体は「半導体・電子部品の供給状況に関するアンケート」を実施した。調査期間は2021年2月17日〜2021年3月16日。有効回答数は201件。本稿ではその内容について紹介する。
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