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» 2021年04月21日 06時00分 公開

燃費が良好な二輪車にも電動化は必要か、日本の電池のサプライチェーンの課題はカーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会(3)(2/2 ページ)

[齊藤由希,MONOist]
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日本物流団体連合会

 陸海空の物流事業者が参加する日本物流団体連合会からは、商用車のカーボンニュートラルの課題について説明された。日本国内の物流産業の市場規模は、トラックや鉄道、海運などを合計して25.6兆円だ。このうち、トラック運送事業の営業収入が16.3兆円で最も多く、企業数や従業員数も他の業種と比べて多い。中小企業の比率は99.9%に上る。

 商用車の電動化に関しては、乗用車以上にコスト低減がシビアに指摘されてきた。現状でも運賃の価格競争が激しく、「物流コストは荷主に転嫁できない」というトラック運送事業者の声が多い中、電動車の導入は中小企業はもちろん大手企業にとってもさらなる負担となるためだ。トラック運送事業者では1台のトラックを15年ほど使うのが一般的だ。「駆動用バッテリーの寿命などで従来よりも耐用年数が短くなれば、車両の入れ替えや駆動用バッテリーの載せ替えでコストが跳ね上がるのではないか」と日本物流団体連合会は指摘する。

 トラック運送事業の中で電動化を進めやすい分野としては、宅配などラストワンマイルの配送があるという。1日の走行距離は都市部であれば50km程度で十分だとしており、「EVを導入しやすい」(日本物流団体連合会)と述べた。ただ、車両価格や事業所での充電設備の設置などがハードルとなるとしている。

 運賃の競争が激しいB2Bの集配や引っ越しなどの近距離トラックは、電動車のコストや性能が厳しく問われそうだ。近距離トラックで必要とされる1日の走行距離は100〜200kmだ。電動車の導入コストだけでなく、充電の電気代なども運送事業者の収益に大きな影響を与えるという。

 1日に500〜1000kmを走る長距離トラックはEVでカバーするのは難しく、「FCVに可能性があるのではないか」(日本物流団体連合会)と指摘した。ただ、長距離トラックは夜間の運転も多く、水素ステーションがサービスエリアなどで24時間利用できることが必要になる。長距離トラックでFCVを導入するには、全国規模で十分な水素ステーションの整備が不可欠だ。

 日本物流団体連合会は、商用車の電動化を進める課題として、ここ数年でラインアップがほとんど増えていないと主張した。日本の商用車メーカーが運送事業者のニーズに応えられておらず、結果として中国やドイツの事業者に頼ることが多いという。「台数の多い乗用車の開発が優先されているのではないか」(日本物流団体連合会)と日本の自動車メーカーが積極的に商用車の電動化に取り組むよう訴えた。

 物流全体でカーボンニュートラルを実現するには、トラック主体の長距離輸送を見直すことも不可欠だ。中継しながらの輸送や、鉄道、船舶へのモーダルシフトも必要だ。

長距離輸送のモーダルシフトがカーボンニュートラルの中で必要になる(クリックして拡大) 出典:日本物流団体連合会

 「物流の標準化」も重要性が高まっている。段ボールのサイズや形状の統一によるパレットなどへの積載性向上、パレット自体の規格統一といった取り組みによって荷役作業を効率化する。さらに、伝票や受け渡す荷物のデータなども事業者間で規格をそろえ、情報を連携しやすくすることも求められている。また、積載率を上げるために、当日発送だったものを半日もしくは翌日に遅らせるなど商習慣の変更も必要になりそうだ。

物流の効率化には、パレット、外装、伝票、データ共有などさまざまな分野で規格統一が不可欠だ(クリックして拡大) 出典:日本物流団体連合会

全国オートバイ協同組合連合会

 二輪車販売事業者が加盟する全国オートバイ協同組合連合会は、ガソリン二輪車の販売継続を訴えた。運輸部門から排出されるCO22億1000万トンのうち二輪車の排出量は79万トンであり、二輪車は電動化せずとも高い環境性能を持っていることを強調した。

日本のCO2排出のうち、二輪車の排出量はかなり少ない(クリックして拡大) 出典:全国オートバイ協同組合連合会

 日本国内の二輪車保有台数は1035万台で、このうち原付が668万台、軽二輪が197万台、小型二輪が170万台となっている。原付は生活を支える移動手段である一方で、電動化のメリットが得られにくいという。ホンダの排気量125ccのスクーター「PCX」の場合、HV化した「PCX e:HEV」はガソリン車と比べて定地燃費値が0.7%、WMTCモード燃費は8.0%改善したのに対し、定価は25%増となった。

二輪車は電動化によるコストと燃費改善のバランスが難しい(クリックして拡大) 出典:全国オートバイ協同組合連合会

 ヤマハ発動機の原付1種「ビーノ」の場合は、EV化した「E-Vino」によって定価が27.6%増となった一方で、走行距離は定地燃費値で比較すると91.9%減となった。ガソリン車は定地燃費値が80.0km/l、燃料タンク容量が4.5lで360kmを走行できる計算なのに対し、EV版は充電1回あたりの走行距離は29kmだった。既存の製品では電動化による燃費改善とコストのバランスが取れていないことを指摘した。

 走行距離の短いEVバイクを普及させるのであれば、電欠しないために四輪車向け以上に充電ステーションを充実させる必要があると訴えた。

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