汎用インバーターシリーズを大幅に刷新、業界最高クラスの応答性にFAニュース

富士電機は、汎用インバーター「FRENIC-MEGA」シリーズを大幅に刷新した。応答性を業界最高クラスに高めて生産効率を向上したほか、予知保全機能の追加や冷却機構の見直しがなされている。

» 2021年04月16日 07時00分 公開
[MONOist]

 富士電機は2021年3月23日、汎用インバーター「FRENIC-MEGA」シリーズを大幅に刷新したと発表した。電流応答は1000Hz、速度応答は200Hzで、業界最高クラスの応答性を備えた。

 応答性を同社従来製品の約2倍に高めたことで、モーターが受けた負荷で低下した回転数が指定の回転数に戻るまでの時間が短縮し、より速く、安定した稼働が可能になる。その結果、加工品質の安定化や加工速度の向上にも貢献する。

キャプション 汎用インバーター「FRENIC-MEGA」シリーズ(クリックで拡大) 出典:富士電機

 また、予兆保全機能を追加した。インバーターの主要部品であるIGBTモジュール(パワー半導体)の出力電流、出力周波数をモニタリングして、異常の兆候が見られた場合に警告を発する「寿命予測機能」、インバーターの冷却能力が低下していないか、兆候を検知する「冷却能力低下警報機能」により、装置の停止を未然に防ぐ。

 他に、モーター異常が発生した場合、直前の出力電圧、出力周波波形を記録する「トレースバック機能」により、不具合の原因を特定する時間を短縮し、保全作業の負荷を低減する。

 冷却機構も見直された。インバーターからの熱を逃がすための冷却システムを盤内に設置する従来の方法に対し、省スペース、省エネが期待される方法として、インバーターの主な冷却部を盤の外に出し、排気熱を直接外に送り出す盤外冷却方式が注目されている。

 盤外冷却方式は、冷却システムが不要のため盤を小型化し、電力使用量を低減できる。一方で、主冷却部がほこりや湿気などの影響を受けるため、設置場所が限られることが課題だった。そこで同社では、過酷な環境下でも盤外冷却方式を使用できるように、主冷却部に防水防塵規格「IP55」を適用。これにより盤を小型化、省エネ化しつつ、幅広い環境で使用可能になった。

キャプション 主冷却部に防水防塵規格「IP55」を適用 出典:富士電機

 FRENIC-MEGAシリーズは、3相200V製品として0.4〜90kWの17機種、3相400V製品として0.4〜630kWの28機種を展開。どの機種も、ベーシックタイプとEMCフィルター内蔵タイプを用意している。

 主な用途は搬送機械や工作機械、流体機械など。同社は刷新したFRENIC-MEGAシリーズを日本、中国を中心にグローバルに展開する。

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