大阪大学は、ウイルスサイズの物体の動きを水中で精密に制御する、固体ナノポアデバイスを共同開発した。従来法と比較して、粒子が細孔を通過する速度を1万分の1まで遅くできるため、ウイルス検査の精度を大幅に向上する。
大阪大学は2021年3月16日、ウイルスサイズの物体の動きを水中で精密に制御する、固体ナノポアデバイスを開発したと発表した。九州大学、華中科技大学との国際共同研究による成果だ。
ナノポアはナノ(10億分の1)メートルスケールの細孔のこと。固体ナノポア法は、細孔を通過するイオン電流を計測することで、ウイルスを1個から検出、識別できる。
今回開発したデバイスは、ナノポアとゲート電極を集積しており、ゲート電極に電圧を加えるとナノポア内に電気浸透流が発生し、その流れの方向や勢いを電圧の変化によって制御できる。従来の固体ナノポア法と比較して、粒子が通過する速度を1万分の1まで遅くできるため、ウイルス検査の精度を大幅に向上する。
従来の固体ナノポア法では、ウイルスが細孔を通過する速度が1000分の1秒未満と高速であるため、イオン電流の測定が間に合わず、ウイルスの識別精度が劣るという課題があった。
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