人手作業のデータ化、ポイントは「自然に自動で」いまさら聞けないスマートファクトリー(6)(2/3 ページ)

» 2021年03月17日 12時30分 公開
[三島一孝MONOist]

作業員に負荷をかけるデータ取得の失敗例

 さて、前回、「データ化の壁」で悩んでいた矢面さんですが、着実に前に進んでいるようです。

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印出さん、こんにちは。


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矢面さん、こんにちは。最近の調子はどうなの? 「データ取れない問題」は解決しそう?


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まあ、一気に全てを完璧に取ることは難しいんですが、必要な機械に絞った形ではデータ取得が徐々に進められそうです。


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おお、すごいわね。一歩一歩でも着実に進められるところが矢面さんの良いところね。


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おお、ありがとうございます! データが取れない古い機械については、データをデジタル化して吸い出す機器を設置したり、カメラでメーターを読み取る機器を設置したりして何とか欲しい部分は、データ化する仕組みを作ることができました。


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素晴らしいじゃない! 人手作業の情報のデータ化についてはどう?


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それなんですよ。この前「トリガー」や「映像や音声の活用」などを教えてもらって、取り入れようとしたんですが、思った以上に現場から抵抗がありまして、あまりうまく進んでいないんです。


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なるほど。分かったわ。矢面さん、現場に余計な手間増やすようなことをしているんじゃない?


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どうして分かったんですか! 現場でデータ取得のために、作業の中で作業開始や作業内容などを入力してもらうようにしたんですが、それが不評でなかなか入力してくれないんです。


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それはだめよ。人手作業のデータ化は「自然に自動で」がポイントよ。


 人手作業のデータ化を進めるのに、トリガーを設定し、作業時間やタクトタイムなどを取得することが有効だということを前回紹介しましたが、この中で失敗するケースが、人手作業のさまざまなデータを取ろうとして、現場の作業員に余計な負荷を多くかけてしまうというパターンです。

 作業前にはこのボタンを押し、作業の種類をこのパネルから選び、作業終了後はこのボタンを押す――、これらのように複数の作業を増やすことを要求するケースもあります。現場によってはそれで成功しているところもありますが、現場作業者の動作を増やすようなデータ取得方法は基本的には避けるべきだと考えます。作業者の動作が増えることで、本質的な生産にかかわる作業が複雑化し、ミスにつながる可能性があるからです。

 基本的に人手作業のデータ化で重要なのは「自然な動作の中」から「自動で取得する」という2つのポイントではないかと考えます。現場作業者の余計な動作を増やすことなく、さらに現場での入力作業や記録作業などが不要な形で取得する仕組みを作ることが、人手作業のデータ化では重要になります。

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