このように、デジタル化が急速に進む製造業の現場に対して、ネットアップはデータ管理の側面から支援を行う。設計・開発、生産、品質管理といった各プロセス/部門間、さらには外部パートナーを含めたエコシステム全体において、データをタイムリーかつ安全に共有し、ビジネスを円滑に進める仕組みが重要になるとし、ネットアップでは「データパイプライン」という考え方を提唱する。これは前述のデジタルアセンブリのように、分散した複数拠点間と連携してデジタルツインを実現するための基礎になるもので、“データを核にビジネスを推進する”というネットアップの理念にも通じるものだという。
このデータパイプラインの実現を支えるネットアップの技術については、「データ共有」「データセキュリティ」「データ管理」の3つの視点から見ることができる。
データ共有においては、離れた拠点間のデータアクセスを高速化するキャッシング技術「FlexCache」がある。WAN経由アクセスでのレイテンシを低減し、複数拠点へのデータ共有を支援するもので、指定されたディレクトリ以下のファイルをキャッシュ領域に事前に配置するといった機能も実装されている。これにより、CADファイルのような大容量データを拠点間で効率的に共有することが可能になるという。また、同じくデータ共有を支援する技術として、マルチプラットフォーム間でのデータ転送を実現する「Cloud Sync」というサービスも提供している。
データセキュリティに関しては、“ゼロトラストセキュリティ”の考えに基づく対策が重要となる。ネットアップでは、ユーザー認証やアクセス管理の他、振る舞い検知やデータアクセスの記録、異常なアクティビティーの検知、アラートといった機能を提供。さらに、意図的なデータの改ざんや削除などを防止する仕組みや、予防保全と事後保全の観点からランサムウェア攻撃を防ぐ仕組みなども用意する。
データ管理では、ネットアップがITシステムで培ってきたデータを効率良く保存、管理する機能を製造業向けにも提供する。また、データバックアップや業務継続の観点から、データ管理の二重化を実現する仕組みなども用意している。
デジタル化が急速に進む製造業に対して、ネットアップは「『データファブリック』というビジョンの下、データを中心とした企業活動の発展を支援していく考えだ。さまざまな場所で生成されるデータを、効率良く収集、管理し、企業活動に活用できる仕組みを提供すると同時に、高度なセキュリティも実現する。運用管理の容易さも含めた統合的なデータ管理プラットフォームで、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援していきたい」と述べる。
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