Mesh Fusionを活用したHFSSによる解析アプローチは次の通りだ。
先ほどのドローンのケースで考えると、これまで、筐体/基板/パッケージの各モデルを1つの解析モデルとして扱っていたが、HFSSの「3Dコンポーネント技術」により、各モデルを部品のように読み込んで、それぞれ独立した状態を保ちながら、集合体としてHFSS上で取り扱うことができる。
この仕組みで各解析モデルを取り込むことで、それらを領域ごとに分割し、最適なメッシュ生成をそれぞれの解析モデルに対して行える。「ここに、Mesh Fusionの新たなメッシュアルゴリズムが適用されている。これにより、スケール感の異なる小さなモデルと大きなモデルが混在しても、安定して全体を解析できるメッシュが生成できる」(同社)という。また、各モデルで独立したメッシュ生成を実現することから、並列化による速度向上効果も見込めるという。
ただ、モデルごとでそれぞれ個々にメッシュを生成していくと大きな問題に直面する。それは、各モデルの境界部分でメッシュが不連続になってしまうという問題だ。「領域を分けることで、安定した最適なメッシュ生成を実現するが、その半面、どうしても領域間でメッシュが不連続になってしまう。FEMでは生成されたメッシュから大きな1つの行列を作って、Maxwellの方程式を満足するための解を求めていく。しかし、従来のソルバーのままでは、このメッシュの不連続部分をどうしても扱うことができない。この課題を解決するために、最新のFEMソルバーを用意した」(同社)。
この最新のFEMソルバーでは、メッシュの中に不連続な部分があった場合、境界部の解を繰り返し演算で収束させる手法を採用することで、これまでと同様に、高精度なFEM解析が行えるという。
「Mesh Fusionという新たな技術によって、小さなモデルと大きなモデルが混在したものでも安定したメッシュ生成が行え、精度の良い電磁界解析が行えるようになった。高密度な設計が進む中、Mesh Fusionを搭載したHFSS 2021 R1が幅広い製品開発に貢献できると確信している」(同社)
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