これらのSystemReadyの要件をもう少し細かく示したのが図10である。それぞれの環境に応じて対応できるOSやハイパーバイザー、搭載されるファームウェアなどが細かく異なっているのが分かるかと思う。
2020年10月に開催されたArm DevSummit 2020のタイミングでは、Microsoftが認証プログラムに協力しており(図11)、既に「Raspberry Pi 4」を含む幾つかのデバイスで取り組んでいることが明らかにされた。
2020年12月の時点では、これに加えてAmpereのサーバ専用プロセッサ「Altra」(図12)、NXPの「Layerscape LX2160A」搭載ボード(図13)、同じくLayerscape LX2160Aを搭載するSolidrunの「HoneyComb LX2K」(図14)、NXPの「Layerscape LX1046A」搭載ボード(図15)がそれぞれSystemReadyの認証を取得した、もしくはしていることが明らかにされている。
AmpereのAltraを除くと、(Raspberry Pi 4を含めて)基本的に開発ボードなので、最終製品にそのまま使うというわけにはいかないのだが、BIOSなどは全て提供されるから、それをそのまま導入することで最終製品における複数OSの稼働が保証されるというのは、確かにエンドユーザーにとっても悪くない話である。
これまで、Cortex-Aレベルの性能が要求されるクラスのエッジデバイスでは、しばしばx86+Windowsやx86+Linuxといった構成がみられることが多かったが、画面があるデバイス(キオスク端末など)に関しては、最近Arm+Androidを採用する事例が増えてきている。今回のSystemReadyの投入により、今後は同ESや同IRを取得したArmベースのシステムがLinuxなどとの組み合わせで大幅に採用を増やしていく可能性が出てきたことになる。
前回紹介したハイエンドサーバ分野だけでなく、ハイパフォーマンスの組み込み機器向けでも、Armがx86を追撃するための条件がそろってきたといえるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.