新型コロナウイルス感染症の回復者のほとんどが、6カ月後も中和抗体を保有医療技術ニュース

横浜市立大学は、新型コロナウイルス感染症の回復者のほとんどが、6カ月後も抗ウイルス抗体と中和抗体を保有していることを明らかにした。回復者の体内に中和抗体が確認できれば、再感染する可能性は低くなる。

» 2020年12月21日 15時00分 公開
[MONOist]

 横浜市立大学は2020年12月2日、新型コロナウイルス感染症の回復者のほとんどが、6カ月後も抗ウイルス抗体と中和抗体を保有していると発表した。同大学学術院医学群 教授の山中竹春氏らの研究グループが、回復者の追跡調査により明らかにしたもので、一定期間追跡した調査としては日本初、かつ最大規模になるという。

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 研究グループは、回復者の体内で産生された新型コロナウイルスに対する抗体が、感染から6カ月と12カ月の中長期間を経た後も残存するかを調査。同時に、感染阻止に寄与すると考えられる、中和抗体も測定した。

 今回は中間報告となり、感染から6カ月が経過した回復者619人から376例のデータを解析した。その結果、ほとんどの回復者が抗ウイルス抗体を保有し、さらに中和抗体も保有していることが分かった。

 なお中和抗体は、軽症者よりも、酸素投与を必要とした中等症以上の方が活性がより強い傾向にあった。中和抗体は、細胞へのウイルス侵入を阻害し、再感染を防ぐ役割を持つ。そのため、回復者の体内に中和抗体が確認できれば、そうでない場合に比べて、再感染する可能性は低くなる。また、予防ワクチンの開発にも、一定の期待が持てるという。

 新型コロナウイルス感染症については、海外から、中和抗体の活性が非常に低い感染者がいること、抗ウイルス抗体が早期に消失するなどの報告がある。しかし、検体数や追跡期間、検査制度などに問題がある報告も多く、また日本独自のデータが乏しいという課題があった。

 研究グループは、引き続き1年後の中和抗体の状態についての調査を進める。研究で用いた全自動抗体検出技術と中和抗体検出技術は、今後実施される抗体保有率調査での活用が期待される。

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