5W1Hの残りの3つについては、「Why」は東芝がインフラサービスにフォーカスする理由、「What」は東芝のインフラサービスが何なのか、「Who」はインフラサービスの顧客事例になる。
インフラサービスにフォーカスする理由としては、社会インフラが東芝のDNAや経営理念そのものであることや、これまでの社会インフラシステムの導入実績、長い運用機関とCRA(Compelling Reason to Act)による多大なサービスオポチュニティ、そしてそのオポチュニティをビジネスとして刈り取るためのソリューションであるTOSHIBA SPINEXがそろったことを挙げた。山本氏は「インフラサービスを軸にすることが決まってから、社内の士気が大きく上がったことが印象的だった。まさに社会インフラは東芝のDNAそのものといえる事実だと思う」と述べる。
東芝のインフラサービスが何なのかについては、会見の前半で石井氏が挙げた社会課題に起因するエネルギー管理(エネマネ)、O&Mデジタル化、レジリエンス、インフラオーナー意思決定支援という4つのビジネス要件を解くソリューション群になる。現時点では19のソリューション領域で開発を進めているが、今後はインフラサービスを意識した統合や再整理を進めていくという。
インフラサービスの顧客事例では、北米ヘルスケア業界の顧客向けの無停電電源装置(UPS)向けのRemotRADARサービス、国内半導体工場向けの人を補完するレガシー設備のデジタル化、VPPによる再生可能エネルギーソリューションの3つを紹介した。
UPSの事例はまさにO&Mデジタル化の典型例になるが、ここは競争が激しい分野だ。「差別化を図るには質の高いO&Mサービスに加えて、IoP、System of Systemsという観点が必要になる」(山本氏)。
IoPはInternet of Peopleの略であり、製造現場などを支える熟練技術者の「匠の知」をモデル化し、As a Service化して提供することを指す。人を補完するレガシー設備のデジタル化は、このIoPにつながるものだ。
そして、System of Systemsは、複数のシステムが有機的に連携しさらに大きなシステムになる考え方であり、さまざまなエネルギーシステムが連携するVPPはSystem of Systemsをサービスとして形にしたものといえる。「東芝はIIC(Industrial Internet Consortium)などでSystem of Systemsに関する標準化活動に大きく貢献してきたし、今後はIIoTにおける人の役割としてIoPの体系化も進めていく」(山本氏)とした。
会見の最後に山本氏は「2020年現在、東芝はCPSテクノロジーによってインフラサービスカンパニーとなるべく離陸し、車輪を機体に収めた段階にある。次の段階としては、乗員がシートベルトを外せる高度3000mに向けて、30以上のサービスメニューを開発し、30以上の顧客事例を創出する。そして、水平飛行に入る高度1万mに進んでCPSテクノロジー企業として飛躍を果たす。明快な目標と手段、社員の士気がそろったことを考えれば、十分に達成できる」と述べている。
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