東芝が技術戦略説明会を開催。同社 執行役専務 CTOの斉藤史郎氏と、コーポレートデジタイゼーションCTO&デジタルイノベーションテクノロジーセンター長の山本宏氏が登壇し、2018年に発表した「東芝Nextプラン」に対して技術戦略がどのように進捗しているのかを説明した。
東芝は2019年11月28日、東京都内で技術戦略説明会を開催。同社 執行役専務 CTOの斉藤史郎氏と、コーポレートデジタイゼーションCTO&デジタルイノベーションテクノロジーセンター長の山本宏氏が登壇し、2018年に発表した「東芝Nextプラン」に対して技術戦略がどのように進捗しているのかを説明した。
まず斉藤氏は、東芝Nextプランにおける財務基盤の整備はほぼ完了しており、今後はCPS(サイバーフィジカルシステム)テクノロジー企業への転換を図る「成長のフェーズ2に入る」と語る。2018年度の発表から、本社を第1層、研究開発本部を第2層、研究開発センター、ソフトウェア技術センター、生産技術センターを第3層とする3層構造の研究開発体制を継続する。研究開発投資も「1年当たり約1800億円」(斉藤氏)のラインに変更はなく、2019〜2023年度の累計で9300億円を計画している。
CPSテクノロジー企業を目指す技術開発方針としては「強い差異化コンポーネントとEdge化」「『AIをベースとしたデジタル技術』の高度化」「IoTリファレンスアーキテクチャとサービスの展開」の3つを掲げた。
「強い差異化コンポーネントとEdge化」では、CPS社会を支える“強いEdge”を創出すべく「パワーエレクトロニクス」、画像認識プロセッサ「Visconti 5」、リチウムイオン電池「SCiB」、知能化ロボットによる自動化・省力化などに注力する。
中でもSCiBは、次世代負極材料となるNTO(ニオブチタン酸化物)の採用による高容量化を図る他、電池寿命診断技術などを組み合わせて「トータルWh単価での価値提供を目指す。製品としての電池の売り切りから、サブスクリプションを含めた電池サービスを提供して、市場拡大と長期安定収益を実現する」(斉藤氏)という。
「『AIをベースとしたデジタル技術の』の高度化」では、東芝には50年以上にわたる長年のAI技術があり、AI関連累計特許出願数で世界3位、日本1位のポジションにあることを強調した。その上で、AI技術の高度化では、「人手のかかるAI」から「少ないデータで学ぶAI」へ、そして最終的に「自ら学ぶAI」へ進化させていく方向性を示した。
またAI人材の育成では、現在の750人の陣容から、2022年度までに約3倍の2000人まで増強する方針だ。ここでいうAI人材とは「AIのアルゴリズムを考えて使える人」(斉藤氏)であり、社内育成で700人、新規採用で200人、東京大学と開発した「AI技術者育成プログラム」で350人(1年当たり100人)を増やすとしている。
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