製品検査や設備保全向けの異常音検知ソリューション、音響解析AI技術を活用:製造ITニュース
日立製作所は、同社の音響解析AI技術を活用し、製品の打音や設備の稼働音などの音響データから異常音を検知するソリューションを発表した。製品検査や設備保全に活用できる。
日立製作所は2020年10月22日、同社の音響解析AI(人工知能)技術を活用し、製品の打音や設備の稼働音などの音響データから異常音を検知するソリューションを発表した。
同ソリューションは、マイク搭載の無線センサーなどから収集した音響データを独自開発の音響解析AI技術によって解析し、製品不良や設備故障から発生する異常音を検知する。同社は、製品検査と設備保全の2つの用途向けにソリューションを提供する。
製品検査向けの「IoTデータモデリングサービス―IoTデータ監視サービス」(IoT:モノのインターネット)は、マイクで収集した製品の稼働音や加工音、打音などについて、同社の音響解析AI技術で音源を分離し、雑音を除去する。そこから対象となる検査音の特徴量を抽出して音の異常度を算出し、可視化する。
音響解析AIは、稼働音の変動や周囲の音変化によるブレにも対応し、さまざまな条件下で異常音を検知できる。例えば、空調が変化するような場所での製品検査でも、不良音を検知したり、検査結果を迅速に確認できる。
設備保全向けの「設備点検自動化サービス―異音検知システム」は、正常な状態の音響データを音響解析AI技術に学習させておき、マイク搭載のレトロフィット無線センサーで設備の稼働音を収集、解析して異常音を検知する。
レトロフィット無線センサーは、同社工場でのノウハウを基に実用化したもので、防水防塵仕様であることに加え、電池駆動で無線通信が可能だ。配線が不要なため、電源や通信ケーブルの設置が困難な屋外や高所でも容易に導入できる。なお、電池は省電力設計によって5年間連続で稼働する。
ソリューションの概要図 出典:日立製作所
発売は同年11月2日からで、設備保全向けは2021年1月に、製品検査向けは同年4月に提供を開始する予定。価格はそれぞれ個別見積もりとなる。
≫「製造ITニュース」のバックナンバー
- 冷凍機の故障を予知、予防保全でメンテナンスコストを25%削減
ニチレイロジグループ本社と日立製作所は2018年8月28日、IoT技術を活用し、冷凍設備の故障予兆診断と運転、メンテナンスの効率化に向けた共同実証を2018年9月から開始することを発表した。
- トヨタ生産方式と設備保全、IoT活用をどう考えるか
日本型モノづくりの象徴ともいうべき「トヨタ生産方式」。本連載では多くの製造業が取り入れるトヨタ生産方式の利点を生かしつつ、IoTを活用してモノづくりを強化するポイントについて解説していきます。第2回となる今回は、設備保全へのIoT活用のポイントについて紹介します。
- 故障予知は前提、“真の予兆保全”を実現するために必要になるもの
2017年はIoTやAI技術の進展により、大型機械や設備の故障予知や予兆保全への取り組みが加速した1年となった。2018年は故障予知などを前提とした、センシングやデータ管理などが進み、予兆保全に関する各種製品開発やソリューションが数多く登場する見込みだ。
- 製造業のサービス化、予兆保全は単なる「はじめの一歩」
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第7回は、前回に引き続き「製造業のサービス化」についてご紹介します。
- 全員参加の生産保全、TPMとは何か?
本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPMとは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説していく。第1回となる今回は、まず「TPMとは何か」について紹介する。
- 変種変量生産で効率50%向上、“世界的先進工場”は何を行っているのか
2020年1月にWEFによる「第4次産業革命を主導する世界的先進工場(ライトハウス)」に選ばれた日立製作所の大みか事業所。世界の中でも先進的な取り組みを進めるスマートファクトリーとして評価された工場となったわけだが、具体的にはどういう取り組みを行っているのだろうか。同工場の取り組みを紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.