徹底した小型設計と低価格化を実現したミマキのフルカラー3Dプリンタ:3Dプリンタニュース
ミマキエンジニアリングは、1000万色以上のフルカラー造形を実現するUV硬化インクジェット方式3Dプリンタのエントリーモデル「3DUJ-2207」を発表した。販売予定価格(税別)は348万円で、2021年1月から全世界で販売を予定する。
ミマキエンジニアリングは2020年11月5日、1000万色以上のフルカラー造形を実現するUV(紫外線)硬化インクジェット方式3Dプリンタのエントリーモデル「3DUJ-2207」を発表した。
UV硬化インクジェット方式3Dプリンタのエントリーモデル「3DUJ-2207」 ※出典:ミマキエンジニアリング [クリックで拡大]
3DUJ-2207は徹底した小型設計により、上位機種である「3DUJ-553」と比べて約5分の1の価格を実現する。本体サイズは1355×1290×856mmで、重量は140kg。本体を分解することなくエレベーターを使用して運搬でき、省スペースに設置可能。また、静音設計かつ脱臭機(オプション)を備えており、オフィス環境への設置にも最適だという。
販売予定価格(税別)は348万円で、2021年1月から全世界で販売を予定する。
3DUJ-2207をはじめとする同社の3Dプリンタは、2Dの高画質産業用インクジェットプリンタ開発で長年培ってきた技術(独自の波形コントロール技術と高精度なインク吐出技術)を生かし、1000万色以上のフルカラー造形を実現する。一般的な石こう方式の造形と比べて約2倍の高精細な色表現を可能とし、複雑な形状に対しても色彩豊かなフルカラー造形が行える。
「3DUJ-2207」の造形サンプル(左)と、一般的な石こう方式による造形サンプル(右)との比較 ※出典:ミマキエンジニアリング [クリックで拡大]
フルカラーインク×クリアインクによる造形サンプル ※出典:ミマキエンジニアリング [クリックで拡大]
小型設計によって、3DUJ-2207の造形エリアは上位機種(3DUJ-553[508×508×305mm])よりも縮小し、203×203×76mmとなっているが、使用可能な色数および造形精度については上位機種と同等だとする。
同社は、3DUJ-2207をUV硬化インクジェット方式3Dプリンタのエントリーモデルに位置付けており、小型化、低価格化を実現したことで、これまで高精細なフルカラー3Dプリンタの導入を諦めていた顧客層にリーチしたい考えだ。具体的には、メーカーを中心に教育、建築、医療、デザインオフィスなどでの試作品や模型の製作用途に加え、小サイズ/小ロット造形が求められるフィギュアや各種グッズなどの最終製品の製造用途で需要開拓を進めていくとしている。
高精度な造形が可能 ※出典:ミマキエンジニアリング [クリックで拡大]
⇒ その他の「3Dプリンタ」関連ニュースはこちら
- 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。
- いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。
- 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。
- JVCケンウッドが痛感した3Dプリンタの量産活用における難しさと解決への筋道
日本HP主催「HP デジタルマニュファクチャリング サミット 〜3Dプリンターによる、ものづくりのデジタル革新〜」において、JVCケンウッドは「JVCケンウッドが推進するデジタルマニュファクチャリングの取り組み」をテーマに講演を行った。
- 3Dプリンティングの未来は明るい、今こそデジタル製造の世界へ踏み出すとき
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、サプライチェーンが断絶し、生産調整や工場の稼働停止、一斉休業を余儀なくされた企業も少なくない。こうした中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、あらためて3Dプリンタの価値に注目が集まっている。HP 3Dプリンティング事業 アジア・パシフィックの責任者であるアレックス・ルミエール(Alex Lalumiere)氏と、日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏に話を聞いた。
- 絶対に押さえておきたい、3Dプリンタ活用に欠かせない3Dデータ作成のポイント
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第4回は、3Dプリンタを活用する上で欠かせない「3Dデータ」に着目し、3Dデータ作成の注意点や知っておきたい基礎知識について解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.