3年間で累積480時間を削減へ、少量多品種工場でいかにスマート化を進めたかスマート工場最前線(3/4 ページ)

» 2020年11月04日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

中間板洗浄ライン受け取り機のロボット化

 中間板洗浄ライン受け取り機のロボット化についても現在、導入テストを進めている。プリント配線板の製造工程でプリント配線板そのものを重ねると不具合が発生する場合があるので、間に中間板を挟む。この中間板は、使う度に洗浄を行うが、その受け取りや搬送は人手で行っていた。しかし、人手で作業することにより発生する汚れやキズなどもあるため、これらを自動化するためにロボットを活用するという取り組みだ。

 洗浄後の中間板をロボットが自動で見極めて、ピックアップし台車に載せる工程を担う。高度な位置決めが必要だと台車の設置などで人作業の負荷につながるため、カメラによる画像認識技術を活用し人が適当に置いたものでも正確に台車に積載できるようにしている。このシステムは現在テスト中で2020年内に本格導入する計画だという。

photo テスト中のロボット。中間板洗浄ライン受け取り工程の自動化を目指している。赤丸のカメラ部分で台車と中間板の位置を認識する(クリックで拡大)

エッチングラインの動線の改善と入力のデジタル化

 デジタル化による動線改善にも取り組んでいる。エッチングラインの機器制御が複数の制御盤を行き来しながらでなければできなかったのを、デジタル化により1カ所で集中指示を行えるようにした。

 プリント配線板では、精密な配線を行うためにマスキングなどで必要な部分を保護した上で他の部分をエッチング液で除去するエッチング加工が行われるが、OTCではこれらの加工を行う際に、まずスプレー圧を操作するために「制御盤(1)」で操作を行い、エッチングコンベヤーのスピードを装置近くの「操作盤」で行い、剥離コンベヤーのスピードを「制御盤(2)」で操作するという、非常に複雑な動線となっていた。また、これらの作業記録も手書きとなっていたために、抜け漏れがあり正しい作業記録が行われていない状況があったという。

photo エッチングライン。従来は赤丸の3つの箇所で操作を行っており、作業記録も手書きだった(クリックで拡大)

 これを各種装置の稼働データや制御データをデジタル化しタッチパネルで一括操作を行えるようにした。デジタル化したため、操作データや稼働情報などは全て自動で記録できるようになり、作業記録の負荷を低減できた。また、煩雑だった動線もシンプル化できたという。

photophoto 装置のデジタル対応を行い装置からデータを吸い上げることが可能になった一方で制御指示などを一括で行い装置にフィードバックする仕組みを構築した。タッチパネル1カ所から3つの制御盤に指示ができるようになった(左)、デジタルデータ化された装置データを吸い上げ逆にタッチパネルでの指示を各種制御盤に伝える役割を果たす端末(右)(クリックで拡大)

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