プリント配線板の製品判別を行うための刻印の自動化も進めている。従来は手導で刻印していたが、レーザーマーカーで自動刻印をする一連の工程システムを作り、自動化を行った。
「従来は人が1日3000枚くらいの刻印を行っていた。これをまず自動化し、2次元バーコードを自動で刻印できるようにした。作業内容によっては刻印が消えたり読み取れなかったりする場合があるので、地味だが以外に苦労したところだ。これはまだ取り組みの第一歩で、将来的には紙で出しているロットカードの代わりとすることを目指している。プリント配線板そのものにIDが割り振られることで、サーバ内の情報をすぐに呼び出せるようになれば、ロットカードそのものを紙で出す必要がなくなる。工程によってはすぐに適応するのが難しい部分があるので順次という形になるが、いずれは全て紙のロットカードはなくしていきたい」と佐藤氏は語っている。
これらの他にも、中間検査工程の自動化に向けた取り組みやAGV(無人搬送車)を活用した自動搬送、顧客の注文情報に合わせた製造条件が最適化どうかを自動判定し製造データを作成するシステムなどの開発と導入を現在進めているところだという。
多品種少量生産型の工場では、一度の自動化で大幅に効率改善を進めることが難しく、細かい改善点に気付き、自動化を導入していく作業がどうしても必要になる。そこでそういう気付きを生み出すための教育などにも積極的に取り組んでいるという。「製造現場で起こることは現場のリーダーが最もよく知っている。そのリーダーたちが『ここは自動化できるかも』と気付くことが何より重要だ。そのためPLCなど制御技術や自動化技術などの講習なども行い、現場の判断でさまざまな自動化が進めていけるような体制作りを進めている」と佐藤氏は語る。
一方で取り組み始めて感じる課題などもあるという。佐藤氏は「いろいろな問題がある。そもそもデータが紙で記録されているものがほとんどでデータ化するところがまず大きな障壁となっている。また、古いものなど設備によってはデジタル設定への変更などが必要でこうした作業の負担が大きい。さらに、台車やラックなどに統一性がないという点など、標準化されていない環境が数多くあり、これらが自動化の難しさにつながっている」などの問題点を挙げている。
少量多品種型の自動化を進める中では市販のツールでは合わない場合も多いが「内製できるものは基本的には内製で進める。信頼性の問題や保証の問題などが必要なものについては、外部の信頼できるツールやソリューションを活用するという切り分けで進めている」と佐藤氏は語っている。
今後は「まずは2022年までに480時間の作業時間削減を着実に実現できるようにする。現状ではアイデアは100個くらいあるが3年間トータルで積み上げていくことを考えるとまだ足りないと考えている。自動化や省力化だけでなく、品質を向上させることで作業負荷を低減することなども可能で、そういう幅広い考え方で自動化のアイデアを生み出していけるようにしたい」と佐藤氏は抱負を述べている。
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