日立製作所が2020年度第2四半期の決算を発表。同年度上期の連結業績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による市況悪化・需要減の影響を受け減収減益となった。本社で管轄する5セクターがCOVID-19の影響から脱しつつある一方で、日立建機と日立金属の上場子会社2社は落ち込みが続いている。
日立製作所(以下、日立)は2020年10月28日、2020年度(2021年3月期)第2四半期(7〜9月)の決算を発表した。同年度上期の連結業績は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による市況悪化・需要減の影響を受けて、売上高が前年同期比11%減の3兆7600億円、調整後営業利益が同39%減の1807億円となるなど減収減益となった。本社で管轄するIT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの5セクターがCOVID-19の影響から脱しつつある一方で、日立建機と日立金属の上場子会社2社は落ち込みが続いている。
同社 執行役専務 CFOの河村芳彦氏は「ITセグメントが業績をけん引した他、モビリティセグメントのビルシステム事業が中国市場の回復で伸び、ライフセグメントの計測分析事業も好調だった。調整後営業利益を見ると、第2四半期の1224億円という数字は第1四半期の583億円から倍以上になっており回復が鮮明になっているといえるだろう。また、2020年7月に買収を完了した日立ABBパワーグリッドも、デジタル、環境関連投資に基づく受注が増大するなど順調に成長している」と語る。
ITセグメントの2020年度上期業績は、売上高が9474億円、調整後営業利益が1080億円となり、前年同期比では減収減益となったものの、全社の調整後営業利益の約6割を稼ぎ出しており、利益率も向上している。ビルシステム事業の伸びを支えた中国市場は、地域別売上高で唯一前年度比プラス(+7%)となっており「COVID-19の影響からほぼ回復したのではないか」(河村氏)という。
中期経営計画の重要指標になっているデジタルソリューションの「Lumada」事業については、2020年度上期売上高は前年同期比2%減の4890億円と微減となった。ITセグメントとモビリティセグメントのコア事業(ユースケースを中心としたデジタルソリューション)が堅調だった一方、関連事業(デジタルソリューションと連携するシステムやプロダクト)が減少した。ただし、2020年度通期の売上高は同6%増の1兆1000億円と強気の見通しを立てている。河村氏は「ガートナーのマジッククアドラントで、産業用IoT(モノのインターネット)プラットフォームのリーダー企業3社の1社に選ばれるなど、IoTの実行力で高い評価を得ている。5Gとの連携を含めて展開は今後も拡大していく」と強調する。
2020年度の連結通期業績の見通しは、売上高7兆9400億円、調整後営業利益4000億円などとなっている。前年同期比では売上高が9%減、調整後営業利益が40%減など、COVID-19の影響による減収減益は避けられないものの、2020年7月に発表した見通しからは売上高で600億円、調整後営業利益で280億円積み増した。利益面では、好調なITの他、インダストリー、モビリティの各セグメントの見通しを上方修正している。
なお、日立建機、日立金属の上場子会社2社は、2社合計の通期業績見通しで売上高が前年同期比39%減の1兆4900億円、調整後営業利益が同80%減の250億円と厳しい状況にある。両社とも売却報道が流れているが「従来通り、中計経営計画期間中である2021年度までにどう対応するかを決める方針に変わりはない。予断を置かずに検討しており、現時点でまだ何も決まっていない」(河村氏)としている。
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