LIXILは、パブリックトイレ空間をクラウド上で自動設計するサービス「A-SPEC」を発表。その第1弾として、多機能トイレ内の器具レイアウトを自動設計するシミュレーションサービスを無償公開した。
LIXILは2020年10月19日、住宅設置以外のトイレ(パブリックトイレ)空間をクラウド上で自動設計するサービス「A-SPEC」を発表。その第1弾として、多機能トイレ内の器具レイアウトの自動設計シミュレーションサービスを無償公開(※1)する。
※1:サービス利用には会員登録が必要となる。
A-SPECは、「いっしょに考えます トイレのこと」をコンセプトに、建築設計者のパートナーになることを目指して開発されたコンピュテーショナルデザインツールである。A-SPECの由来は“Automatic Space Planning Engine Component”で、先頭の“A”には、「Automatic(自動)」の他、「Adovanced(先進的な)」「Architectual(建築の)」「Assist(助ける)」などの意味も込められている。
最大の特長は、指定した空間に対して、クラウド上のA-SPECのプログラムがさまざまなシミュレーションを行い、数万件のアイデアの中から最適なレイアウトプランを提案してくれる点にある。A-SPECのプログラムには、同社がこれまで提案してきた豊富な設計ノウハウが生かされており、入力条件に基づき自動計算を行い、その結果(自動設計結果)のレイアウトを評価する。これにより、設計時間の削減が可能となる他、設計者の個々のノウハウに頼ることなく、設計精度の均一化などが図れるとしている。
その第1弾として、同社は多機能トイレ内の器具レイアウトの自動設計シミュレーションサービスを展開する。
駅や商業施設などに設置されている多機能トイレを設計する際、限られたトイレ空間の中にさまざまな器具をレイアウトするには、器具の位置や間隔、動線の配慮など、トイレ設計者を悩ます多くの検討項目があるという。また、これらを図面データに反映するために、2D/3D CADやBIMなどさまざまなツールを使用する必要がある。
これらの課題に対して、同社が提案するのがA-SPECを用いた自動設計のアプローチであり、今回のサービスを活用することによって、多機能トイレの設計を容易に、高精度に行うことができるという。
ユーザーは、A-SPECのWebサイトにアクセスし、トイレ空間の大きさや扉の位置を指定して、使用する器具を選択するだけでよい。
シミュレーションは数分間で完了し、結果が表示される。結果画面には、子連れ、オストメイトといった配慮項目別の指標が得点化され、これらを参考にしながら設計者の意図に沿ったレイアウトプランを選択できる。レイアウトプランについては、器具配置時の制約事項などが全て考慮されているため、レイアウト検討時間の大幅な削減が見込める。
また、A-SPECにより自動設計された結果を、3D CAD「Rhinoceros」のプラグインである「Grasshopper」に読み込むことで、車いすやベビーカーの動作干渉チェックや視線確認など、空間内の視覚的なシミュレーションも行える。
A-SPECの開発は、AMDlabと高木秀太事務所の2社とともに進めており、今後も強力なパートナシップの下、さらなる機能向上を目指していくという。
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