スマート工場は製造業にとってオワコンなのかFAメルマガ 編集後記

進んでいる企業と停滞する企業の分断が激しくなっていると感じています。

» 2020年10月16日 12時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 この記事は、2020年10月2日発行の「FAメールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。

スマート工場は製造業にとってオワコンなのか

 MONOistでは5年以上にわたり、インダストリー4.0をはじめスマート工場化への取り組みを積極的に取り扱ってきました。まず、労働人口の減少や熟練技術者の引退、グローバル化、製品の複雑化などのさまざまな動きを見て、製造業の持続可能性を考えた場合、人手のみに頼るやり方では遅かれ早かれ限界が来るのは明らかでした。そして、何らかの技術でこうした課題を乗り越える必要があるという場合に、最も進歩が著しいデジタル技術を活用しないという手はなく、最も合理的だと考えたからです。

 しかし、製造現場にデジタル技術を導入する場合でも安易にITの論理だけで進めるのは危険だと考えていました。グローバルで見ると、日本の製造業は世界でもトップを争う企業が数多く存在し、特に製造技術では高い評価を得ています。しかし、ITで日本は先進国とはいえない状況です。この中で製造現場にデジタル技術を入れるとなった場合に、ITの論理だけで話を進めると「現場力」ともされる日本の製造業の強みが失われるのではないかと危惧したのです。

 そこで「日本の強みを生かしたデジタル化やスマート工場化」を焦点とし、さまざまな団体活動や、成功事例などを積極的に取材してきました。取材を重ねていると、徐々にですが成功事例は増え、積極的に取り組む企業も着実に広がってきているように感じていました。

製造業のデータ活用への動きは停滞へ

 だからこそなのですが「2020年版ものづくり白書」の「製造業のデータ活用」の調査結果にショックを受けました。

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