いよいよ、CalculiXのソルバーを実行する。赤い「S」の文字が目立つ「Solver」アイコンをクリックする(図22)。
よく見ると全く同じ「Solver」アイコンが並んでいるのだが、右側のものは「実験的実装」と書かれている。試しにクリックしてみると、ファイルの読み出しを要求されるのだが、何を読み込んだらよいのかさっぱり分からなかった(要するに使うことができなかった)。今まさに、何か開発中(開発者向け機能)ということか……。
タスクウィンドウの[Write .inp file]ボタンをクリックし、CalculiXの入力ファイルを書き出す。解析のタイプは「Static(静的)」のままでいい(図23)。
他にも、周波数応答(Frequency)や熱機械(Thermo mechanical)、Check Meshなどの項目(解析タイプ)も気になるが、今回は割愛する。
CalculiXの入力ファイルが書き出されると、タスクウィンドウの[Run CalculiX]ボタンがアクティブになる(図24)。
[Run CalculiX]ボタンを押すと、一瞬で計算が完了する(図25)。
ソルバーのウィンドウを閉じても、メッシュのかかった3Dモデルには何も変化がないが、フィーチャーツリーに「CalculiX_static_results」(CalculiX_の静的結果)が追加されている(図26)。
解析結果を可視化するには、フィーチャーツリーに追加された「CalculiX_static_results」をダブルクリック(図27)。
今回は変位が見たいので、結果タイプから「Z変位」を選ぶ。最小の値を確認すると「−0.21mm」となっている(図28)。先ほどの手計算の結果が「0.214mm」だったので、いい線ではないだろうか?
今回は、境界条件の設定も簡単に行い、粗めの精度で解析を実行したにもかかわらず、まあまあな結果が出たのではないだろうか。そして、十数年前の設計現場の人たちは、この程度の静解析の機能に、それなりのお金を払うしかなかったのだ……。そもそも、もっとGUIが分かりづらかったことだろう……。科学技術の進化はまさに山登りのようで、ある程度の高さを登ってから景色の変化に気が付くものだ。
ともあれ、FreeCADのFEMは、簡単な梁やたわみを利用した部品などの変形を見るのに便利に使えそうだ。無償で使えるため、解析初心者にとってよい勉強ツールにもなるだろう。 (次回へ続く)
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