交通量調査でおなじみの数取器に隠された間欠動作の仕組みに迫る!!身近なモノから学ぶ機構設計“超”入門(7)(1/3 ページ)

身近にあるモノを題材に、それがどんな仕組みで動いていて、どんな機構が使われているのかを分かりやすく解説する連載。今回は、前回に引き続き「間欠運動機構」をテーマに、交通量調査などでおなじみの数取器(カウンター)の仕組みを解明する。

» 2020年10月08日 10時00分 公開

 皆さま、こんにちは! プロノハーツの久保田です。今年(2020年)の夏は本当に暑かったですね。マスクを着けているからなおさらそう感じたのかもしれません。本来なら夏休みシーズンに3Dプリンタや3D CADの子供向け講座を実施していたのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により軒並み中止。気が付けば9月、10月とあっという間に時が流れていました……。本当に残念です。そんなときは、MONOistの記事でも読んで自宅でモノづくりの勉強をしよう! ということで、連載第7回を始めていきましょう。

⇒ 連載バックナンバーはこちら

こんな機構だったとは!? 今回は「数取器」を分解する

 さて今回のネタですが、前回に引き続き、「間欠運動機構」を取り上げることにします。

 前回「ゼネバ機構」を取り扱った際、アンティーク時計の他にも何かゼネバ機構が使われているものはないかと、自宅にあったオルゴールやもう使っていないプリンタなど、いろいろなモノを分解してみました。結局、ゼネバ機構が使われているモノを見つけることはできませんでしたが、片っ端から分解した中で、「こんな機構だったのか!」と驚いたものがあります。今回はそちらを紹介したいと思います。

 それは「数取器」です。「カウンター」といった方がイメージしやすいでしょうか。交通量調査などで数をカウントするときに使われている道具です。ちなみに、今回分解した数取器は筆者が100円ショップで購入したものです。

今回分解した数取器(筆者所有物) 図1 今回分解した数取器(筆者所有物) [クリックで拡大]

「数取器」はどんな機構になっているのか想像してみた

 一般的な数取器は数字が4つ並んでいて、ボタンを押し込むと1〜9まで数字が1ずつ上がり、9の後は0に戻り、1桁上の数字がプラス1されていきます。

 この1回転すると左隣が10分の1回転し、さらにそれを10回繰り返すとその左隣が10分の1回転するという動きを見て、筆者は「一の位を連続運動とすると、十、百、千の位は間欠運動。きっと、欠歯歯車やゼネバ機構が使われているに違いない!」と思っていました。そう、このときは図2のような機構を想像していました。

筆者が予想していた機構 図2 筆者が予想していた機構 [クリックで拡大]

 筆者が予想したのは、それぞれの位に「従動節」と「原動節」が付いており、一の位の原動節が1回転すると一の位の従動節が10分の1回転し、数字が1つ上がります。そして、一の位が1回転すると十の位の原動節が1回転し、十の位の従動節が10分の1回転するといった具合で、百の位、千の位も連動して数をカウントしていく仕組みです。0に戻すときの仕組みや一の位の原動節をどう回すかなどは、ここでは考慮していませんが、それぞれの位を動かす仕組みに似たような機構が入っていれば正解! と勝手にルールを決めて分解を始めました。

 そして、実際に分解してみて、筆者の予想が完全に外れだったことが分かりました……。それでは、実際にどうやって間欠動作を実現しているのか見てみましょう。

いざ分解、「数取器」の間欠動作の秘密を解き明かす

 まずは、数取器の外側のネジを外して、カバーを取り外してみました。

カバーを取り外した状態の数取器 図3 カバーを取り外した状態の数取器 [クリックで拡大]

 この段階で分かったことは、金具を押すとバネにテンションが掛かり、指を離すと金具が戻るということだけで、どうやってダイヤルを動かしているのかは正直分かりません。もう少しバラしてみましょう。

数取器をさらに分解してみると…… 図4 数取器をさらに分解してみると…… [クリックで拡大]

 何やら複雑な機構が出てきました。ここから徐々に分解して、間欠動作の秘密を解き明かしていこうと思ったのですが、ピンを外した瞬間に全ての部品がバラバラになってしまいました……。ご自身で分解にチャレンジしてみようとお考えの方は、十分に注意してください。弾け飛んで部品をなくす可能性があります。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.