リョーサンがPandaを展示する蔦屋家電+は、家電製品を中心に独創的なプロダクトを集合展示するというコンセプトで蔦屋家電エンタープライズが運営するショールームだ。クラウドファンディング中の試作品や、スタートアップの開発した新しい製品が展示されている。
蔦屋家電+の特徴について、蔦屋家電エンタープライズ 商品部 商品企画Unit 新規事業Team Leader 蔦屋家電+ プロデューサーを務める木崎大祐氏は「蔦屋家電+は単なるショールームではなく、製品を展示するメーカーが消費者とつながる場として設計している。現場で見学客から製品に寄せられたさまざまな意見を収集し、展示企業にフィードバックするサービスも提供している」と語った。
蔦屋家電+にPandaを展示した意図について、リョーサン ソリューション事業本部 プロジェクトマネージャーの萩山公晴氏は「一番の目的は、国内ではまだそれほど知られていないFranka EmikaとPandaの知名度を向上させることにある。もう1つの目的は、今後の事業展開を見据えて協働ロボットの新たな可能性を探ることだ。Franka Emikaは協働ロボット開発のコンセプトとして『人に寄り添う協働ロボット』を掲げているが、ドイツではPandaを産業用だけでなく、エンターテインメントのパフォーマンス用途で使うケースもしばしばある。今回のデモ展示を通じて、普段産業用ロボットになじみのない見学客の意見を参考にしつつ、産業用途以外での協働ロボットの可能性も探りたいと考えている」(萩山氏)。
今回の展示では見学客とPandaとの接触事故を防止するため、Panda上部に設置したカメラで撮影した映像を画像認識AIで分析して、Pandaの設置台に人が接近した場合(端から5cm程度)、自動的にPandaを停止する仕組みを採用した。
画像認識AIの開発、提供は、周辺監視用のAIモデル開発に強みを持つDMPが行った。AIモデルを駆動させるコンピュータにはRaspberry Piを採用した。DMPが既に開発していた画像認識AIを今回の展示に合わせて軽量化して、省リソースのRaspberry Pi上でも動作するように改良したという。
DMP 取締役 セールス&マーケティング部長の梅田宗敬氏は「産業ロボット周辺への立ち入りを防止する装置としてはエリアセンサーなども用いられるが、カメラを用いた検知システムを使う方が導入コストは低く抑えられる。また、Raspberry Piを用いることも省コスト化につながっている。現在、エッジAIの処理用コンピュータとしてはNVIDIAのGPUなどが主流だが、これらは高性能であると同時に高価格な点がネックだ。それらより低コストなRaspberry Piを用いれば、導入コストをさらに削減できる。ただし、現時点ではRaspberry Piを用いた画像認識AIはこうした一般向けの展示には十分だが、産業分野で実用化可能な精度が出せるとは言い難く、この点は今後の開発課題になると考えている」と説明した。
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