東南アジアで市場低迷が長引くも、日系乗用車メーカーの生産は回復の兆し自動車メーカー生産動向(2/2 ページ)

» 2020年09月15日 06時00分 公開
[MONOist]
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スズキとマツダも減少幅が改善傾向

 スズキの7月のグローバル生産は、同10.4%減の22万9909台と7カ月連続で減少した。マイナス幅は6月より22.0ポイント改善した。国内販売で「ハスラー」や「ジムニー」「ソリオ」などが増加した他、欧州向けを中心に輸出が同44.2%増と大幅に増加した結果、国内生産は同25.5%増の9万6602台と2カ月連続のプラスとなった。

 海外生産は同25.8%減の13万3307台と7カ月連続のマイナス。ただ、減少幅は6月に比べて29.9ポイント改善するなど回復傾向が続いている。COVID-19の感染が広がるインドは同19.2%減だったものの、足元の販売は同1.8%増と6カ月ぶりにプラスへ転じるなど回復傾向を示した。

 マツダの7月のグローバル生産台数は、同19.6%減の10万1520台と11カ月連続で減少し、減少幅は6月比で20.5ポイント改善した。国内生産は同22.3%減の6万9101台で、10カ月連続のマイナス。国内販売が2桁減となった他、欧州向け輸出が同76.7%減と大きく減らした結果、主力の「マツダ3」や「マツダ6」が半減。ただ、「CX-5」がプラスを確保するなど、減少幅は6月から37.1ポイントと大きく改善した。

 一方、海外生産は同13.1%減の3万2419台と2カ月ぶりの減少だった。タイがCOVID-19の感染拡大の影響により稼働を停止したことで同72.0%減と低迷した。また、中国が同4.4%増、メキシコが同36.2%増と増加したものの6月より伸び悩み、タイの落ち込みをカバーしきれなかった。

乗用車8社の中で唯一プラスのスバル、厳しさ続くダイハツと三菱

 7月のグローバル生産で8社中唯一プラスとなったのがスバルだ。8万5603台と前年同月に比べて16台上回り、5カ月ぶりにプラスへ転じるとともに7月として過去最高を更新した。国内は前年同月比1.6%減の6万1439台と4カ月連続で減少したものの、減少幅は6月より44.7ポイントと大幅な改善を見せた。海外も同4.3%増の2万4164台と2カ月連続で増加するとともに7月の過去最高を記録。インディアナ州の外出禁止令で稼働を停止していた分の挽回生産を実施していることに加えて、米国市場で新型「アウトバック」などの販売が好調に推移している。

 6月より厳しさが増しているのがダイハツと三菱自だ。ダイハツの7月のグローバル生産台数は、同26.5%減の11万4891台と5カ月連続で減少し、減少幅も6月から11.6ポイント悪化した。国内は同0.1%減の8万5928台と微減。4カ月連続のマイナスだが、減少幅も6月から5.4ポイント改善している。軽自動車は減少したものの、登録車が「ロッキー」とトヨタ向けにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「ライズ」の小型SUV兄弟の好調により同23.7%増と7月の過去最高を更新した。

 大きく台数を減らしたのが海外で、同58.8%減の2万8963台と5カ月連続のマイナス。減少幅も6月から27.8ポイント拡大した。インドネシア、マレーシアともに減少し、中でも市場低迷が深刻なインドネシアは同84.4%減と大幅減となった。

 他社に比べて回復が遅れているのが三菱自だ。7月のグローバル生産台数は同62.0%減の4万7992台と11カ月連続で減少。グローバル生産台数が前年比で半数に満たなかったのは三菱自のみで、減少幅は6月から7.4ポイント悪化している。

 国内生産は同69.1%減の1万7946台と4カ月連続のマイナス。国内販売では「eKスペース」の新型車効果があったものの、「eKワゴン」や「デリカD:5」「アウトランダーPHEV」など主力モデルが軒並み半減以下となった。輸出も北米向けが0台となるなど同94.3%減と激減した。海外生産は同56.0%減の3万46台と10カ月連続のマイナス。主力拠点のタイは同53.0%減と6月より7.9ポイント改善したものの、市場回復が進む中国が伸び悩み、同30.8%減と26.3ポイント悪化した。

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