スライダーの軸に用いるのは、サビにくいステンレス製の丸棒が最適です。「丸棒」などと軽々しく呼んでいますが、精密部品のベアリングを使ってスライドさせる目的から、相手になるこの丸棒も、外径精度や直進精度がそれなりに出ているものでなければいけません。ここで使いたいのが「リニアシャフト」という精密部品です。
リニアシャフトは主に、カメラスライダーのような“直線往復運動のガイド”として使用される高精度なものです。専門業者のネット通販などでは、必要な長さを指定して購入できるので、今回は外径12mmのリニアシャフトを、500mmの長さで2本用意することにします。
さらに、スライダーが滑らかに移動するように、例のベアリングが仕込まれたこちらの部品(図5)をカメラ固定台に取り付けて、ここにリニアシャフトを通すようにすれば部品づくりの手間が半減します。
カタログによると、取り付けネジのサイズはM5で、ネジ穴の深さは12mmのようですね。このスライドユニットを横に2つ並べて、上にカメラ固定台を置いてネジ止めします。
“カメラを載せてスライドさせる”という仕様上、ここで使うネジは他のボルトよりも強度がある「六角穴付きボルト」にしてみましょう。六角穴付きボルトは六角レンチを使って締め付けるネジです。
カメラ固定台は、厚さ5mm程度のアルミ板で十分です。
板厚が決まると、六角穴付きボルトのネジ長さも決まってきます。今回は、5mmの板を通過して、スライドユニットの深さ12mmのネジ穴に届く長さが必要ということになります。つまり、必要なボルトのネジ長は、単純計算で「5+12=17mm」ということです。しかし、17mmは中途半端でめったに売っていないため、ここでは15mmを選ぶことにしましょう。
スライドユニットの寸法を見ながらカメラ固定台のタテヨコ寸法を決めて、その後スライドユニットの各寸法を確認しながら、取り付け用の穴の位置を決めます。さらにカメラ固定台の中央には、雲台をネジ止めするための穴を設けます。
アルミは、鉄と比べて柔らかく穴開けしやすい材料ですが、そうはいっても木材と違って穴加工にはコツが要ります。
そこで使用するのが、前回列挙した道具一覧にある「センターポンチ」です。これは、穴を開ける前に材料にくぼみを付ける工具です。使い方は至ってカンタンです。
センターポンチを垂直に持ち、穴を開けたい位置の中心にセンターポンチの先端を当てて、クギを打つのと同じようにセンターポンチをハンマーでたたきます。そうしてできたくぼみに、ドリルの先端を合わせて穴開けをします。くぼみのおかげでドリルの中心がズレにくくなり、狙った位置に穴が開けられるというわけです。
図8は、ハンマーでたたいてくぼみを付けるタイプですが、ちょっと高めのスプリング式のものもあります。たまにやる作業なら「ハンマーたたきタイプ」で十分です。
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