自動メッシュで生成される要素は、ほとんどが四面体です。そんな中、Ansys(アンシス)のメッシュ分割機能は、同一断面を持つような単一な形状の3Dモデルであれば、その形状を認識して、四面体よりも精度の高い六面体で自動メッシュ分割します。単純な穴であれば、その部分も自動的に処理して六面体要素とします。
参考のために、同じ片持ちばりを六面体で解析してみました。Fusion 360のCAEモジュールでは六面体要素分割はできないので、フリーソフトの「LISA」を使いました。その結果を図7に、数値データを前ページの表1に示します。
節点数が少ない割には、相対的に精度の高い結果となっています。
続いて、「皿バネ」を解析した例を図8に示します。形状も荷重も拘束も全て対称なのですから、応力図の等高線は同心円を描くはずです。四面体1次要素の応力はかなり乱れていることが分かります。四面体2次要素では、その乱れは格段に少なくなっています。六面体1次要素の応力図はパーフェクトといっていいでしょう。
ここまでのテストで、同一の構造物でもそれを構成する有限要素の種類、次数、要素サイズによって、解析結果が大きく変わることが分かりました。解析は“有限要素のありようが全てを支配している”ということです。
応力集中部は“より詳細に要素分割をする”というのが、有限要素法のノウハウの一つとしてあります。またそれ以前に、“メッシュの均等性”を意識することが大切です。構造物が対称であればメッシュも対称になるべきです。
最近の設計者向けの構造解析ソフトウェアは、ユーザーにメッシュを見せたがらないようです。“ユーザーにメッシュを意識させない”という配慮だと思いますが、ハッキリ申し上げて「余計なお世話」です。メッシュ図は必ず確認するようにしましょう。有限「要素」法の主人公は「要素」です。主人公が登場しない映画などあり得ないのです。 (次回に続く)
筆者はこれまで相当数の講習会の講師を担当してきました。筆者の講習会の特徴は「動」であること。指示棒を片持ちばりに例えて曲げてみたり、イスを持ち上げて応力を説明してみたり……。暑苦しいくらいの講師の熱量を受講者に伝えることが筆者のスタイルです。
コロナ禍でオンラインの講習会が増えてきました。筆者としては、生で人と接してこその対話であり、教育です。ですからオンラインの講習会は苦手と決め付けていました。
最近、初めて“オンラインで”材料力学と有限要素法の講習会を開催しました。その際、こちらからの要望で受講者さん側のカメラをオンにしていただきました。受講者の皆さんの顔が見えるので、それなりの熱量を伝えることができたと思います。
配信サービスとそれを取り巻くサービスの進化はすごいですね。オンライン講習会の中でミニテストができたり、アンケートがとれたりと。
講習会もニューノーマルのスタイルを確立しなければなりません。
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