メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)は2020年9月2日、フラグシップセダン「Sクラス」の新モデルを世界初公開した。同年9月からドイツで受注を開始し、12月から販売する。モデルチェンジに合わせて新型Sクラスの生産拠点「Factory 56」を刷新した。
メルセデスベンツ(Mercedes-Benz)は2020年9月2日、フラグシップセダン「Sクラス」の新モデルを世界初公開した。同年9月からドイツで受注を開始し、12月から販売する。
モデルチェンジに合わせて新型Sクラスや「マイバッハSクラス」、電気自動車「EQS」の生産拠点「Factory 56」を刷新。CO2ニュートラルの実現や既存の生産拠点と比べて25%の省エネ化、ローカル5Gの導入などIoT対応、ペーパーレス化など新たな試みを取り入れる。
新型Sクラスパワートレインは発売当初、直列6気筒のガソリンエンジンとディーゼルエンジンを展開し、その後48Vのマイルドハイブリッドシステムが追加される。2021年にはプラグインハイブリッドモデルも加わる。プラグインハイブリッドモデルはモーターのみで走行するEV走行の距離が100kmとなる。
さまざまな先進機能も搭載する。自動運転関連では、2021年後半からレベル3の自動運転「DRIVE PILOT」がドイツの高速道路において利用可能になる。また、コネクテッドサービスのMercedes meと組み合わせることにより、専用のインフラを備えた駐車場においてレベル4の自動運転(無人運転)による駐車機能も利用できる。
次世代のインフォテインメントシステム「MBUX」も搭載した。MBUXのインフォテインメントシステムの他、運転支援システムなど50種類の電子コンポーネントは、ユーザーの同意の下で無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)によって更新可能とした。
DRIVE PILOTの提供が新型Sクラスの販売と同時でないのは、ドイツでレベル3の自動運転を使用する上で必要な欧州での承認手続きが2021年半ばに完了する見込みであるためだ。導入当初はDRIVE PILOTの最高速度が時速60kmに制限されるが、規制が緩和された場合はOTAを通じて機能を拡張する。ドイツ以外の欧州各国や米国、中国でも、DRIVE PILOTを順次導入する。
DRIVE PILOTは、渋滞中など限られた条件下において高速道路で利用できる。作動中はインターネットの閲覧やメールの作成など周辺監視から目を離すことができる。DRIVE PILOTの動作に適したルートが終わる場合や、天候の変化、渋滞の解消など条件が変化した場合は、運転に復帰するようドライバーに要請する。ドライバーは10秒以内に運転に復帰する必要があり、眠ったり運転席を離れたりすることはできない。
DRIVE PILOT作動中は、カメラやMBUXの「インテリアアシスト」がドライバーの頭やまぶたの動きを監視する。ドライバーが運転に復帰できない場合は、システムが適切に減速し、車両を停止させる。同時に、緊急通報システムを作動させ、ドアと窓のロックを解除して救急対応などで車内にアクセスしやすくする。
DRIVE PILOTはオプション装備となる。選択すると標準装備のレーダーやカメラ、超音波センサーに加えて後方監視用のカメラやLiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)が追加される。また、デジタルHDマップから得られる道路の形状やイレギュラーな交通イベントなどの情報もDRIVE PILOTで使用する。
レベル3の自動運転や自動バレーパーキングの搭載にあたって、駆動用モーターやセンサー、電子コンポーネントなどを冗長化した。また、高度な安全アーキテクチャの一部として、全てのアルゴリズムを2回計算するという。駆動用モーターは最大出力の50%を非常時にも利用可能だ。DRIVE PILOTを選択すると電動ブレーキブースターが搭載され、油圧ユニットが故障した場合にも安全に車両を停止させる。
また、運転支援技術の1つとして、130万個のマイクロミラーで配光を制御するデジタルライトも設定する。前方の状況に合わせて、道路工事を示すイラストや標識や信号への注意を促す記号を表示する他、検出した歩行者に向けてスポットで照射してドライバーに警告することができる。ハイビームアシストでは対向車などをライトを当てたくない部分をピクセル単位で消灯する。
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