トヨタ自動車とAmazon Web Services(AWS)は2020年8月18日、トヨタ自動車の「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」を強化するためグローバルで業務提携すると発表した。
トヨタ自動車とAmazon Web Services(AWS)は2020年8月18日、トヨタ自動車の「モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)」を強化するためグローバルで業務提携すると発表した。
今回の提携拡大により、AWSのグローバルインフラとプロフェッショナルサービスを活用し、将来の膨大なトランザクションに備えるとともに、モビリティサービスでビッグデータを蓄積、活用する基盤を強化する。今回の提携では、包括契約の適用範囲をトヨタグループに拡大し、車両のビッグデータをグループ各社で柔軟かつ安全に活用できる基盤を構築する。
トヨタ自動車は、モビリティサービスに必要なさまざまな機能をAPIを介してモビリティサービス事業者に提供するオープンなプラットフォームとしてMSPFを活用している。コネクテッドカーから収集した車両データを設計開発にフィードバックしており、「急アクセル時加速抑制機能」の開発などでビッグデータを活用した実績がある。さらに、カーシェアやライドシェアなどのサービスや、車両のメンテナンスの事前通知、運転挙動反映型テレマティクス自動車保険などMSPFと連携するサービスを充実させている。
トヨタ自動車のChief Information & Security Officer兼Chief Production Officerの友山茂樹氏は、「コネクテッドは、自動車ビジネスにおける開発、生産、販売、サービスの全てのプロセスに大きな進化をもたらしていつ。今回のAWSとの提携拡大により、ビッグデータ基盤を強化していくことは、CASE時代の大きな強みとなるだろう」とコメントを発表。
また、AWS CEOのアンディ・ジャシー氏は「トヨタは、AWSサービスを活用して、世界中のコネクテッドカーに関わる全エコシステムで使われる、新たなモビリティサービスの開発および管理を変革する。高性能、高機能かつ高いセキュリティを持つAWSを利用することで、トヨタはグループ企業全体の改革を迅速に実現できる」と述べた。
他の自動車メーカーでは、モビリティサービスやコネクテッドカー向けと製造面でクラウド基盤を使い分けるケースがある。例えば、フォルクスワーゲン(VW)はコネクテッドカー向けのプラットフォームとしてマイクロソフトの「Microsoft Azure」を採用するが、工場やサプライチェーンをカバーする「インダストリアルクラウド」はAWSと構築する。ルノー日産三菱アライアンスもコネクテッドカーはAzureだ。また、日産自動車は工場のビッグデータ収集にAWSを採用する。
トヨタ自動車のこれまでのコネクテッドカー戦略では、マイクロソフトとの協力が多かった。2014年に発表した車載情報機器「T-Connect」や2013年に実施した自動車ユーザー向けWebサイト「GAZOO.com」のリニューアルなどがその例だ。2017年にはトヨタとマイクロソフトでコネクテッドカー関連の特許技術の相互利用も発表した。
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