ガラス短繊維含有エンジニアフィラメントの形状安定性と強度の向上を確認:3Dプリンタニュース
日本3Dプリンターは、ガラス短繊維を含有したエンジニアフィラメント「Ultrafuse PPGF30」を用いた造形テストを実施し、高い形状安定性と機械的強度を確認した。
日本3Dプリンターは2020年8月3日、ガラス短繊維を含有したエンジニアフィラメント「Ultrafuse PPGF30」を用いた造形テストを実施し、高い形状安定性と機械的強度を確認したと発表した。テストは、FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンタ「Raise3D」用フィラメントとして純正レパートリーに追加する目的の「日本OFP(オープンフィラメントプログラム)」の一環として行われた。
Ultrafuse PPGF30は、ポリプロピレン樹脂(PP)に30%のガラス短繊維を含有したエンジニアフィラメント。PP本来の靭性と強度にグラスファイバーが加わることで、PPよりも形状安定性と機械的強度が向上する。薬品耐性にも優れていることから、テストでは、攪拌(かくはん)機などの回転系に使う約160×67.5mmの大型インペラーを造形した。
大型インペラーを造形(クリックで拡大) 出典:日本3Dプリンター
造形中の大型インペラー(クリックで拡大) 出典:日本3Dプリンター
3Dプリンタ「Raise3D Pro2」による造形の結果、表面の仕上がりは糸引きなどのバリもほとんどなくきれいで、目視ではカーボン系樹脂と同等だった。強度に関しては、PP本来のしなりがある質感があり、フィンの部分に力を加えても割れは発生しなかった。
円形の縁に収縮による影響が多少見られたが、ガラス短繊維のおかげでPP全体の収縮が抑えられていることを確認した。造形の際は、収縮による負荷が均等にかかり、反りの影響が少ない円形を推奨している。
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