フォトシンスは2020年8月4日、物理的な鍵をなくすキーレス社会を実現するための新事業戦略として、データ認証基盤「Akerun Access Intelligence」を発表した。ユーザーのメールアドレスなどのID情報を交通系ICカードに紐付けることで、スマートロックサービスの利便性を高める狙いだ。
フォトシンスは2020年8月4日、物理的な鍵をなくす「キーレス社会」実現に向けた新事業戦略として、ユーザーの交通系ICカードとメールアドレスなどのID情報をひも付けるデータ認証基盤「Akerun Access Intelligence」を発表した。また、同認証基盤を用いた新サービスとしてビルオフィス向けの「Akerun来訪管理システム」を発表し、同日から利用受け付けを開始した。
これまでフォトシンスは、既設のサムターン錠に後付けで設置できるスマートロックシステム「Akerun Pro」などを主軸に、主に法人向けサービスを提供してきた。ドアに取り付けたAkerun Proを付属のNFCカードリーダーと連携させることで、ユーザーは物理的な鍵を使うことなく、ICカードをリーダーにかざすだけで入退室が行えるようになる。
ICカードは、社員証の他、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードなどが使える。各ユーザーには固有のIDが割り振られ、使用するICカード類とひも付けられているので、この情報を基に、例えば従業員の入退室時間などを把握して勤怠管理も行える。
このユーザーIDとICカードのひも付けという特徴を発展させることで、利便性の高い入退室認証サービスの実現を目指すのが、今回発表したデータ認証基盤Akerun Access Intelligenceである。
同基盤は、ユーザーの氏名や勤務先、住所などの「ユーザー基本情報」、メールアドレスや電話番号などの連絡先に関わる「デジタルID」、そして各ICカード内に存在するカードナンバーやバイオメトリクス(生体情報)などユニークな「物理ID」の3つの情報を、単一の「AkerunユーザーID」として登録する。特徴は、AkerunユーザーIDに対して、Akerun Proで管理する空間への入退室を特定の時間や場所ごとに限定的に許可する「鍵権限」を付与できるという仕組みだ。これによってAkerunユーザーは、Akerun IDにひも付けられたメールアドレスや電話番号をあらかじめ訪問先に伝えておくだけで、訪問前にあらかじめ鍵権限を発行してもらえるようになる。
この仕組みが持つメリットとして、フォトシンス 代表取締役社長の河瀬航大氏は「ホテル予約や賃貸契約など、一定期間の空間占有を前提とした諸サービスの利便性が向上する可能性がある。例えばホテルの予約時にメールアドレスや電話番号をあらかじめホテルに伝えておけば、ホテル側はこの情報を基に『鍵権限』を発行する。すると宿泊客は、普段持ち歩いている交通系ICカードでそのままチェックインが可能になるだろう」と説明する。
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