いよいよ、小惑星探査機「はやぶさ2」が帰ってくる。2回のタッチダウンで取得したサンプルを地球に送り届ける最後の関門となるのが地球大気圏への再突入だ。そのために使われる「再突入カプセル」とは、どのような装置なのだろうか。
いよいよ、小惑星探査機「はやぶさ2」が帰ってくる。同探査機はこれまで、小惑星リュウグウにおいて、2回のタッチダウンを実施。これに無事成功しており、計画通りサンプルを取得できている可能性が高いとみられる。初号機とは比較にならないほどの量が入っているはずで、帰還後の分析が非常に楽しみなところだ。
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プロジェクトの最大の目的であるサンプルを得ることができるのか――。その最後の関門となるのが地球大気圏への再突入だ。ここで使うことになるのが、「再突入カプセル」と呼ばれる装置。今回は、このカプセルについて、開発を担当したJAXA(宇宙航空研究開発機構) 宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 准教授の山田哲哉氏に話を聞いた。
はやぶさ初号機のプロジェクトで、最も印象的なシーンは再突入だという人も多いかもしれない。さまざまなトラブルで満身創痍(そうい)になりながらも、メンバーの創意工夫でなんとか地球に帰還した初号機。オーストラリア上空で、カプセルとともに大気圏に再突入し、最後の輝きを放って燃え尽きたシーンは涙を誘った。
当時も、再突入カプセルを担当していたのは山田氏だった。現在の心境と比べると、「初号機のときの方がドキドキしていた」という。「初号機は1回目ということもあって、カプセルに自信があったわけではなかった。今回、カプセルは全く同じではないものの、しっかり検査はしてきたので大失敗はないと思う」と、安心した様子を見せる。
再突入カプセルは、直径40cm、高さ20cmの中華鍋のような形をしている。重量はわずか16kg。カプセル型の再突入機としては、米国の「アポロ」とロシアの「ソユーズ」のような有人機の他、日本の「USERS」のような無人機などさまざまなものがあるが、その中でも特に小さいといえるだろう。
小さいとはいえ、この中に、格納容器であるサンプルコンテナ、減速用のパラシュート、高熱から身を守るためのヒートシールド、パラシュートの開傘や探索用のビーコンを制御する電子機器など、システムとして必要な機能は全て入っている。小さいながらも、これで1つの“宇宙機”なのだ。
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