レクサス「IS」がマイナーチェンジ、日本では2020年秋発売安全システム

トヨタ自動車は2020年6月16日、マイナーチェンジしたレクサス「IS」の新モデルを世界初公開した。日本での発売は2020年秋を予定している。2019年に新設したトヨタテクニカルセンター下山(愛知県豊田市)など世界各地で走り込み、走行性能を改善した。進化した先進運転支援システム(ADAS)も採用する。

» 2020年06月17日 06時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 トヨタ自動車は2020年6月16日、マイナーチェンジしたレクサス「IS」の新モデルを世界初公開した。日本での発売は2020年秋を予定している。

 2019年に新設したトヨタテクニカルセンター下山(愛知県豊田市)など世界各地で走り込み、走行性能を改善した。進化した先進運転支援システム(ADAS)も採用する。車両サイズは全長4710×全幅1840×全高1435mmで、従来モデルと比べて全長と全幅が30mm、全高は5mm大きくなった。ホイールベースは変わらず2800mmだ。

レクサス「IS」にマイナーチェンジを実施した(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 先進運転支援システム「Lexus Safety System +」は、使用するセンサーの構成は従来と同じ単眼カメラとミリ波レーダーだが、検知性能を強化した。自動ブレーキは、左側通行で交差点を右折する際に前方から来る直進の対向車や、右左折時に前方から来る横断歩行者の検知にも対応した。また、ドライバーの操舵(そうだ)をきっかけに車線内でステアリング操作をアシストする緊急時操舵支援や、低速時の事故を防ぐ低速時加速抑制などを追加した。

 また、車線認識性能を向上させ、車線の中央を走行するようステアリング操作を支援するレーントレーシングアシストではカーブの大きさに合わせてあらかじめ減速できるようにした。これにより、カーブ走行時の横Gを一定にすることで、安定した走行を実現する。半径の小さいカーブや、トンネル内でも運転支援を途切れにくくする。

 この他、先行車両や対向車両を検知してハイビームを制御する「オートマチックハイビーム」や、道路標識を読み取ってメーター内に表示する「ロードサインアシスト」にも対応している。

 右折時の直進車に対応した自動ブレーキは、「ヤリス」で初めて採用した。これまでは直進方向の歩行者や車両を検知していたが、ソフトウェアの変更により、ステアリング操作から曲がる方向を予測して予想進路上にいる歩行者や車両を検知できるようになった。

新テストコースを活用

 走行性能の改善に活用したトヨタテクニカルセンター下山は、ドイツのニュルブルクリンクを手本に自然の地形を生かした高低差やカーブ、さまざまな路面を取り入れられている。2019年から、テストコースの一部である全長5.3kmのカントリー路の運用を開始している。総投資額は3000億円で、2023年度末までに本格稼働する。厳しいテストコースで走行試験を重ねることで、車両性能を作り込んだ。

トヨタテクニカルセンター下山のレイアウト(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 具体的には、路面状況や走行シーンに応じて、ドライバーの入力に対する応答性を高め、バネ上の不要な動きを抑制するなどチューニングした。また、ステアリングやペダルは初期応答だけでなく、戻す際のコントロール性も向上した。この結果、一連の運転操作がなめらかになるとしている。

 排気量2.5l(リットル)のハイブリッドモデルは、アクセル開度に対するエンジンとモーターの駆動力制御を変更した。排気量2.0lのターボエンジンモデルは、アクセル開度から走行環境を判定し、シーンに合わせて適切なギア弾数を設定するアダプティブ制御を採用した。パワートレインはこのほかに排気量3.5lのV型6気筒エンジンを用意している。

 車体は、サイドラジエーターサポートの補強や、フロントサイドメンバーのスポット溶接打点の追加、Cピラーからルーフサイドにかけての構造最適化などを実施し、ボディー剛性を高めた。これにより、運動性能の向上や、ノイズや振動の低減による乗り心地の改善を図った。

ボディー剛性向上、ノイズや振動の低減などさまざまな対策を施した(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 ショックアブソーバーは、オイル流路に非着座式のバルブを設けて微小な動きに対しても流路抵抗による減衰力を発生させる「スウィングバルブショックアブソーバー」を採用した。アブソーバーのストローク速度が低い場合でも減衰力を発揮する。

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