そもそも「CAE」とは何でしょうか。筆者は「既知(入力データ)から、未知(出力データ)を得る」というとても単純なシステムだと考えます。ハイエンドなCAEになると、計算に必要な個別の理論式を入力することもあるようですが、この理論式も「既知のもの」といえるのではないでしょうか。
構造解析を例にすると、
となります。
そして、得られた結果から、設計仕様を満たしているかどうかを検証するのが、設計者CAEです。これは「設計パラメータを決める」「設計の見積もり」に相等します。重要なのは「設計者CAEの成果物は、設計パラメータを決めることであり、解析結果は成果物を得るための過程でしかない」ということです。
本連載は、詳細設計過程における解析案件を基に、その解析内容と解析結果をどう判断し、設計パラメータに反映するか、という流れに沿って解説を進めていきます。
まずは、最も多く解析依頼のある構造解析について、事例を基に、解析導入期から解説を始めます。
装置でよく使用される溶接構造のスタンドがあります。スタンドには補強用のリブが設けられています。装置価格の競争上の問題から、コストダウンが目下の課題です。まずは品質への影響がないであろう部分(※1)に対し、剛性上、適した構造であるかを解析し、検証することにしました。
※1:従来装置の品質への影響として、構造変更、材料変更は大きな要因となることから、装置主要機能で品質が既に確保できている部分に対しての形状変更は望ましくありません。
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