表面実装機などを手掛けるロボティクス事業は、売上高が前年同期比17.0%増の179億円、営業利益は同89.3%減の3億円となった。アジア地域で表面実装機の販売台数が増加したが、営業損失12億円のYMRHを子会社化したことが響いた。YMRHの収益を除くと、営業利益率はおよそ10%だった。
ロボティクス事業は、前期からの伸びていた受注を生かして増益を目指す時期となるはずだったが、COVID-19の影響によって自動車業界の投資が抑制され、モデルミックスが悪化した。自動車業界の投資が回復するのは、早くても2020年後半で、場合によっては2021年からになると見込む。
モデルミックスの改善に向けては、5Gによって需要拡大が期待されるスマートフォン・通信分野に注力する。この分野はYMRH傘下の新川やアピックヤマダが大手顧客と取引実績があるという。両社が足掛かりを作り、大手企業との取り引きを狙う。
ヤマハ発動機 代表取締役社長の日高祥博氏は、「COVID-19を受けて移動に対するニーズや価値観の変化が現れている」と語った。例えば、ASEANで多いバイクタクシーは接触を避けるために敬遠され始めており、自分のモビリティを所有したい人が増える可能性がある。また、渋滞が激しい中で物流の機動性を高めるため、二輪車へのニーズが高まっているという。物流向けに二輪車のレンタルやファイナンスを組み合わせたビジネスモデルが拡大すると見込む。
また、飛行機に乗ることをリスクと捉える傾向が強まり、旅行が減ることで近場で余暇を過ごす筆も増えそうだ。実際に、米国ではマリン事業の製品、ダートバイクやバギーなどの売れ行きが好調だ。
公共交通機関での通勤に対する不安から、日常の移動手段としてのバイクの受注も伸びているという。ドイツでは在庫切れの状況で、米国でも排気量100〜200ccのダートバイクの需要が高まった。日本でも二輪車が見直されており、先進国でその傾向が強い。日高氏はこれについて「買おうと思えば買える人たちの動きだ」とする。新興国も心理的には先進国と同じだが、金融面で欲しくても買えない状況が出てきかねない。先進国と同様の理由で需要拡大が期待できるかは不透明な状況だという。
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