アルゴリズムの管理をはじめとしたS+ Camera Basicのデバイス制御は、クラウドベースの管理ツールであるSORACOM Mosaic上で実行できる。
「SORACOM Mosaicのコンソール画面上でアルゴリズムの名前やバージョンを指定すると、対応するアルゴリズムが表示される。画面上でアルゴリズムの更新やデプロイ作業を直接行える他、撮影する画像のサイズを320×320から1024×768に変更するなどのパラメーター設定も可能だ。また、アルゴリズムの実行ログも確認できるため、デプロイしたアルゴリズムが実行エラーを起こした場合に、どのような理由でエラーを起こしたか原因を究明できる」(齋藤氏)。アルゴリズムの管理以外にも、Mosaicのコンソール画面上ではS+ Camera Basicの稼働状況や電波状況を確認できる。この他、シャットダウンや写真撮影などの操作を遠隔で行うことも可能だ。
またSORACOM Mosaicでは、これまでにソラコムがリリースしたさまざまなIoT(モノのインターネット)サービスを必要に応じて選択し、利用できる。主要なものを挙げると、軽量なM2Mプロトコル「OMA LwM2M(Open Mobile Alliance Lightweight Machine to Machine)」を活用したデバイス管理ツール「SORACOM Inventory」や、デバイスからのデータ収集、可視化を実現する「SORACOM Harvest」、デバイスへのセキュアなアクセスを実現する「SORACOM Napster」などが利用可能だ。
「例えばSORACOM Harvestを活用することで、撮影した映像そのものではなく、映像をカメラ上で処理して特定の情報だけを抽出してクラウドに送信可能だ。例えば路上で撮影した車両の走行映像から、右、左など車両の進行方向のデータだけをクラウド上に蓄積していくことも可能だ」(齋藤氏)。
S+ Camera BasicとSORACOM Mosaicの無線通信にはSORACOM AirのLTE通信を用いており、これにSIMカードによるデバイス認証のシステムを組み合わせることで、セキュアな通信環境の構築を実現している。「AIカメラはセキュリティホールになりやすいという弱点があり、実際に多数のカメラが侵入者に乗っ取られ、攻撃の踏み台とされている。一方でSORACOM Mosaicはカメラに割り振ったグローバルIPアドレスを隠蔽しているため、安全にアルゴリズムの更新作業が行える。セキュリティを確保しつつ、携帯電話回線が入るところであればどこでもデバイスをコントロールできる仕組みを作った点は新しいと思う」(玉川氏)。
現在、S+ Camera BasicとSORACOM Mosaicは、物流用倉庫内にある配送品の混雑度を可視化する用途や、社食に設置されたパン売り場の在庫数の判定、交通量調査の省人化などの目的での導入事例が広がりつつあるという。
今後のAIカメラの事業展開について玉川氏は「導入障壁の高さからAIカメラの活用を見送っていた企業に、今後はAIカメラを普及させていきたい。具体的には自社でAI開発をすることなく使えるAIアルゴリズムのサンプルを増やしてほしいという意見があり、そうした声に対応していく」と語った。
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