モノづくり関連の総合展示会「日本ものづくりワールド2020(2020年2月26日〜28日、幕張メッセ)」の特別講演に、コマツ 生産技術開発センタ 所長の山中伸好氏が登壇し、「コマツ流IoTで『見える化』『生産性改善』を実現した取り組み」をテーマに、同社のシステムや導入方法について紹介した。
モノづくり関連の総合展示会「日本ものづくりワールド2020(2020年2月26日〜28日、幕張メッセ)」の特別講演に、コマツ 生産技術開発センタ 所長の山中伸好氏が登壇し、「コマツ流IoTで『見える化』『生産性改善』を実現した取り組み」をテーマに、同社のシステムや導入方法について紹介した。
建設機械や車両事業を展開するコマツの2019年3月期の連結売上高は、2兆7252億円で営業利益は3978億円となっている。地域別売上高は、国内は13%と少なく、北米が25%、アジア(中国除く)が14%、中南米13%となっており、海外市場が中心になっている。これに合わせて、生産体制はグローバルに広がっており、国の経済状況や資源価格などに応じた需要変動に対応できる体制を構築している。
例えば「需要が拡大した場合には、1つの工場の規模を大きくするのではなく、同じような製品を作っている他の工場に委託する形をとる。こうした仕組みを取り入れているために、生産比率でみると国内が40%を占める」と山中氏は語る。
これらを推進するためにグローバル生産方針として以下の5箇条を定めている。
これらをベースに、グローバルでの販売動向を見ながら適正な生産計画を立案することで無駄を抑えた生産を行えるようにしている。
ただ、コマツが採用している部品の加工の88%は、協力企業によって行われている。そのため「現在国内の生産技術における環境面での課題として、労働力不足や若者のモノづくり離れがある。特に協力会社には中小企業も多く心配な状況だ」と山中氏は述べる。
国内マザー工場でキーコンポーネント生産が不可能になれば、技術革新が困難になり、差別化ができなくなる。最終的には競争力の低下を招くことになる。そこで、生産工程で最も必要となる機械加工や溶接については自動化を進めることを徹底したという。自動化により機械から作業記録を取得することで作業の見える化を行い、改善に取り組んでいる。さらに鋳造・鍛造についても今後、機械化を図って全体的な見える化を進め、生産性を高める計画だ。
コマツでは1975年に生産技術センタを設立し、建機特有の問題を解決する材料や生産技術に関する新技術開発や最先端技術の調査・評価を行ってきた。その中でITやデジタル技術を活用した独自技術の開発にも取り組んできている。
コマツのデジタル化への取り組みでは、建機の稼働情報をインターネット経由で取得しその管理や分析を行えるシステム「KOMTRAX」が有名だが、一方で工場のデジタル化やスマート化を実現する「KOM-MICS」というシステムの構築にも取り組んでいる。「KOM-MICS」では、モノづくりのつながる化を目指し、加工情報の見える化、生産現場・生産設備のネットワーク化を行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.