Armは、2019年8月に発表した半導体IPの新しい提供モデル「Arm Flexible Access」について、出資総額500万米ドル以下のスタートアップ企業であれば無償で利用できる「Arm Flexible Access for Startups」の提供を始めたと発表した。
Arm(アーム)は2020年4月29日(現地時間)、2019年8月に発表した半導体IP(Intellectual Property)の新しい提供モデル「Arm Flexible Access」について、出資総額500万米ドル(約5億3000万円)以下のスタートアップ企業であれば無償で利用できる「Arm Flexible Access for Startups」の提供を始めたと発表した。
Arm Flexible Accessを使えば、年間利用料を支払うことで、新規の半導体の開発に向けてArmのさまざまな半導体IPにアクセスできる。利用できる半導体IPは「Cortex-A53」「Cortex-A35」「Cortex-R52」「Cortex-M33」「Cortex-M23」をはじめとする各種プロセッサIPの他、「TrustZone」や「CryptoCell」などのセキュリティIP、「Mali GPU」、システムIPなどがあり、SoC設計や初期のソフトウェア開発用の各種ツール、モデルも利用可能だ。年間利用料は、年間のテープアウト(IC化)数が1つに限られるEntryパッケージが7万5000米ドル(約800万円)、テープアウト数制限のないStandardパッケージが20万米ドル(約2130万円)である。
今回発表したArm Flexible Access for Startupsは、Armが「初期段階(アーリーステージ)」と位置付ける出資総額500万米ドル以下のスタートアップ企業向けに、Arm Flexible AccessのEntryパッケージを無償にするというものだ。これにより、投資余力の少ないスタートアップ企業にとって、リスクを抑えながら新たな半導体の開発を短期間で進められるようになる。「素晴らしいアイデアを持つスタートアップ企業にとって今まで以上に必要なのは、成功と規模の拡大に向けた、最もスピーディーかつ信頼できる道のりだ。Arm Flexible Access for Startupsは、半導体分野への新規参入を目指す企業にとって、実用に向けた試作を行う上での迅速かつコスト効率に優れた手段となり、今後の資金調達に関して投資家からの信頼を獲得する上でも有効だ」(Arm オートモーティブ/IoT事業部門シニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのディプティ・ヴァチャーニ氏)という。
なお、Arm Flexible Access for Startupsの導入促進に向けて、半導体を開発するスタートアップ企業に特化した投資会社であるSilicon Catalystとの戦略的パートナーシップも発表している。
Armによれば、2019年7月発表のArm Flexible Accessは期待を上回る成果を達成しており、Arm Flexible Access for Startupsはその成果を踏まえたものになっているという。採用企業数は40社を上回り、IoT(モノのインターネット)、エッジAI(人工知能)、自動運転車、医療用ウェアラブル端末などで活用されている。
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