サブスクビジネス参入企業は新型コロナに強い、売上高の年平均成長率も18%超に製造ITニュース(1/2 ページ)

Zuoraがサブスクリプションビジネスに関する調査結果「サブスクリプション・エコノミー・インデックス(SEI)」について説明。サブスクリプションビジネスに参入した企業の売上高の年平均成長率は18.1%に達しており、これはS&P 500に登録されている米国企業の年平均成長率3.7%の約5倍に当たるという。

» 2020年04月22日 10時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 Zuoraは2020年4月21日、オンライン会見を開き、同社が展開するサブスクリプションビジネス収益化プラットフォームの利用データを基にした調査結果「サブスクリプション・エコノミー・インデックス(SEI)」について説明した。同調査によれば、サブスクリプションビジネスに参入した企業の売上高の年平均成長率は18.1%に達しており、これはS&P 500に登録されている米国企業の年平均成長率3.7%の約5倍に当たるという。

 2007年に創業した同社はサブスクリプションビジネスの広がりとともに成長を続けており、2020年度の売上高は2億7600万米ドル(約296億円)を見込む。顧客数は1000社以上で、FORTUNE100のうち19社、自動車メーカートップ10のうち9社に採用されている。2020年3月に発表したアニュアルレポートでは、製造業関連のユーザー名として、リコーや富士フイルム、シーメンスヘルスケア(Siemens Healthineers)などが挙がっている。

Zuoraの事業概要 Zuoraの事業概要(クリックで拡大) 出典:Zuora
Zuoraのカール・ゴールド氏 Zuoraのカール・ゴールド氏

 今回発表したSEIの調査結果は、Zuoraのプラットフォームを運用して2年以上のユーザー700社のデータがベースに、匿名化などの処理を経て公開された。Zuora チーフデータサイエンティストのカール・ゴールド(Carl Gold)氏は「サブスクリプションビジネスを取り入れた企業は、2012年初の売上高を100とした場合に、8年後の2019年末時点で平均378まで成長を遂げている。株式上場企業の平均と比べて、その成長率は圧倒的だ」と語る。

SEIの調査結果 SEIの調査結果。サブスクリプションビジネスを取り入れた企業は、8年間で平均3.7倍以上の売上高成長を遂げたという(クリックで拡大) 出典:Zuora

 またアジア太平洋地域でも同様の傾向がみられ、2018〜2019年の年平均成長率では、東京株式市場の日経平均採用銘柄の平均が4.1%にとどまっているのに対し、サブスクリプションビジネス参入企業は16.3%と大きく上回っている。「現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で企業経営も厳しい状況にあるが、サブスクリプションサービスを提供する企業については2020年3月末時点でも90%が成長を続けており、半数以上がCOVID-19の影響は限定的と回答している。サブスクリプションはCOVID-19にも強いといえるだろう」(ゴールド氏)という。

サブスクリプションサービスを提供する企業はCOVID-19にも強い サブスクリプションサービスを提供する企業はCOVID-19にも強い(クリックで拡大) 出典:Zuora

 これらの数字からサブスクリプションビジネスは高い成長に直結するかのように思えるしかし実際には、うまくいっている企業とそうでない企業がある。ゴールド氏は「上位10%の企業は年平均成長率で88%に達するが、下位10%は同24%のマイナスになっている。ここからサブスクリプションビジネスの成功のために、ベストプラクティスが必要なことが分かる」と強調する。

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