大阪大学は、クリアファイルを取り付けることでフェイスシールドとして利用できるフレームを大量生産し、医療機関へ順次無償配布することを目指すクラウドファンディングプロジェクト「新型コロナ:命を守るフルフェイスシールドをいち早く医療現場へ」を開始した。
大阪大学は2020年4月20日、クラウドファンディングサービス「READYFOR」を運営するREADYFORと実施中のプログラム「大阪大学×READYFOR」において、クリアファイルを取り付けることでフェイスシールドとして利用できるフレームを大量生産し、医療機関へ順次無償配布することを目指すクラウドファンディングプロジェクト「新型コロナ:命を守るフルフェイスシールドをいち早く医療現場へ」を開始したことを発表した。
目標金額は500万円で、同年5月初旬からの量産開始を目指す。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の診察や治療に当たる医療従事者にとって、飛沫や接触による感染リスクを低減させる医療用フェイスシールドは不可欠だ。しかし、COVID-19の感染拡大の影響から現在深刻な品不足が続いており、一刻も早い対応が求められている。
こうした自体に対し、大阪大学大学院医学系研究科の特任教授である中島清一氏と、招へい教員の室崎修氏(次世代内視鏡治療学共同研究講座)らは、メガネフレームメーカーのシャルマン(福井県鯖江市)との産学連携により、着想から3日間という短期間で、クリアファイルを用いた安価なフェイスシールドを開発し、フレーム部分の3Dデータの無償公開を開始している(関連記事:クリアファイルが新型コロナ対策用フェイスシールドに、3Dデータ無償公開)。
現在、3Dプリンタの所有者を中心に、公開された3Dデータを用いたフレーム製造の有志活動も盛んに行われているが、オーバーシュート(感染者の爆発的な増加)の発生リスクを考えると金型による大量生産が不可欠である。
今回のクラウドファンディングプロジェクトでは、先の取り組みをベースに、フレーム部品を大量生産し、医療機関へいち早く届けることを目指す。同年6月12日までの期間で、500万円を目標に支援金を募る。獲得した支援金は、フレームの量産用金型製作費、フレーム製造費、梱包・運送費などに当てる。
金型製作は同年4月中に実施し、5月上旬から約2カ月間で10万個を生産する計画。完成したフレームから順次提供を開始するとし、まずは各都道府県で感染症患者の受け入れ数の多い医療機関に対して優先的に無償配布する。
フレームの量産については、甲子化学工業(大阪府・東大阪市)、工販(兵庫県・神戸市)が協力。配布先となる医療機関の選定、梱包・運送については大阪大学および東大阪市の協力の下、現在体制を整えているところだという。
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