前回の後半に紹介した円筒研削と同じく、フライス加工やマシニングセンター加工でも、部品に要求される寸法精度や面粗さによって、後工程に研削作業を必要とするものがあります。このときに使われる機械が、「平面研削盤」や「成形研削盤」です。
平面研削盤はその名の通り、加工物の平面を研削する機械です。加工物を固定したテーブルを左右に動かしながら、回転する砥石を垂直方向から当てて面を削っていきます。平面研削盤の中でも、目的に応じて精密に成形した砥石を使って研削するものを成形研削盤といい、金型部品の仕上げに用いられることが多いです。研削盤の砥石は、加工物の材質に適した砥粒を選定しなくてはなりません。
図面を見て、「これは研削で仕上げなくてはいけない部品だ」と判断したら、研削の取りしろを付けた状態で切削加工を仕上げておきます。研削で仕上げられた面は平たんでキメが細かく、切削面とは明らかに違いますよね。
加工現場では、切削や研削後の表面の粗さをチェックしながら作業しますが、そこでしばしば使われるのが、「粗さ標準片」と呼ばれるゲージです(図11、図12)。まず、加工表面とゲージを目視で比較して視覚的な判断をし、さらに指の爪先で標準片と加工表面を交互に触って触覚的に粗さを判断するというアナログ的な手法でチェックが行われます。併せて「表面粗さ計」という、数値的に結果を出す測定機器も用いられます。
次回は、「放電加工」の技術を取り上げます。お楽しみに! (次回に続く)
藤崎淳子(ふじさきじゅんこ)
長野県上伊那郡在住の設計者。工作機械販売商社、樹脂材料・加工品商社、プレス金型メーカー、基板実装メーカーなどの勤務経験を経てモノづくりの知識を深める。紆余(うよ)曲折の末、2006年にMaterial工房・テクノフレキスを開業。従業員は自分だけの“一人ファブレス”を看板に、打ち合せ、設計、加工手配、組み立て、納品を一人でこなす。数ある加工手段の中で、特にフライス盤とマシニングセンター加工の世界にドラマを感じており、もっと多くの人へ切削加工の魅力を伝えたいと考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.