以上、2D図面について説明してきましたが、「3D図面」というものをご存じでしょうか? 3Dモデルを正とした図面方式で、3Dモデルに直接、寸法(サイズ)や公差などを定義するものです。
3Dモデルに直接付ける寸法や記号などの注記のことを「3Dアノテーション」と呼んでいます。また製造情報のことを「PMI(Product Manufacturing Information)」と呼び、3Dモデルに製造情報を定義することを「MBD(Model Based Definition:モデルベース定義)」といいます。
また、3D CAD上で付加した3Dアノテーションを「3DPDF」として書き出すことで、Adobeの無償ビュワーソフト「Acrobat Reader」で閲覧することも可能です。
3D CADには、2D図面を作成するための便利な機能が多くありますが、それでも2D図面を作成するのには手間が掛かります。日本での活用はあまり進んでいませんが、欧米では2D図面を作らない3D図面によるモノづくりや、2D図面は作っても簡易的なものにとどめた、3Dモデルを「正」とするモノづくりにより、スピーディーな開発が進められています。
日本が海外の競合に対抗していくためにも3D CADの活用が今後、必要だと筆者は感じています。3Dモデルを「正」にした、“3Dを中心にしたモノづくり”を行うためには、これまでのルールに縛られることなく、新しいルールを作っていく必要があります。協力会社との連携や検査などの観点から変えていくのは簡単なことではありませんが、少しずつでも2Dから3Dへの移行を進めていってほしいと、筆者は切に願っています。(次回に続く)
小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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