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» 2020年02月05日 09時30分 公開

なぜ東芝はデータ専門子会社を作ったのか製造業がサービス業になる日(2/2 ページ)

[三島一孝,MONOist]
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第1弾として「スマートレシート」を開始

 東芝データの第1弾事業としては、東芝テックの「スマートレシート」を核とするデータサービス事業を展開する。流通小売業の実店舗における生活者のレシート情報を収集・分析して価値ある情報に変え、ニーズに合ったクーポンなどを付加価値として消費者に還元。小売店に集客や売り上げ拡大をもたらす事業モデルを展開する。

 島田氏は「レジを打つとすぐに明細が見える。リアルな購買情報と組み合わせてターゲットを絞ったクーポンの発行ができる。さらにそのクーポンの利用状況などもデータとして新たに取得できる。リアルとサイバーのつなぎの情報を活用できる点が特徴だ」と強調する。

photophoto 「スマートレシート」のイメージ。POS端末でレシートを発行する(左)と、すぐにスマートフォン端末にレシート情報が届く(右)。家計簿アプリなどと連携できる他、購買情報を取得できるために小売店の集客やメーカーの製品開発などに活用可能(クリックで拡大)

なぜデータ専門子会社が必要なのか

 ここからは記者会見での主な質疑応答の様子を紹介する。

―― なぜ東芝デジタルソリューションズなどの中で行うのではなく、東芝データを立ち上げたのか。

島田氏 システムインテグレーション(SI)などを中心とする東芝デジタルソリューションズとはビジネスモデルが異なるためだ。データの収集や活用などさまざまな企業との連携が必要になる。そのためには東芝で働いていた人以外の人にも入ってもらって新たなビジネス創出の雰囲気を作り出していきたいという狙いもあった。

―― データの保有者や取り扱いについてはどう考えるのか。

島田氏 データの保有者はあくまでも個人だと考えている。それを一時的に預かって活用させていただいているのが東芝データだという位置付けになる。銀行の預金などと同じ考えだ。ただ、保有者はあくまでも個人であるので、個人の同意なしに勝手に活用するということはない。逆に個人がデータを使うことで利点を感じるような用途を作り出していくというのがポイントだと考える。購買データだけではなく医療データなども基本的には同じような考え方だ。個人で考えた場合、医療を受けようとするとデータの面でさまざまな不便がある。そうした不便を解決するためのサービスなどもできるのではないかと考えている。

―― データを預かり活用するという面では「情報銀行」などがあるが、兼ね合いをどう考えるか。

島田氏 情報銀行についても詳細に見ているが現時点で関連付けることは考えていない。情報銀行に定められている業務内容とは異なっている。

―― 東芝はB2B事業が中心でデータ活用もB2Bが中心になるようにも思うがどう考えるのか。

島田氏 B2Bについてもデータを預かって活用する取り組みは進めていく。東芝の事業として考えるとそちらの方が親和性は高いが、B2B事業は中長期的にゆっくりと変化していくものだ。現段階ではすぐに動きの出るB2Cに近い消費者データを活用することを考えている。

 また、B2BとB2Cを明確に分ける時代でもないと考えている。B2B企業であってもB2B2Cなど最終顧客との接点を考えることが重要になってきている。東芝データにより従来の商流を超えてデータを流通させる接点となることができれば、最終的に世の中の発展につながると見ている。

―― データサービスを展開する条件としてはどういうことがあるのか。東芝の機器から取るというのは条件になるのか。

島田氏 基本的に東芝単体で閉じたサービスで完結するのであれば、東芝データで幅広くエコシステムを構築する必要はない。東芝単体で完結できないデータサービスについて東芝データで行うという形だ。エコシステムで横の連携が必要なところに参入していく。東芝の枠を超えた横のつながりを作っていく。東芝のハードウェアから得たデータというのは特に条件とはしていない。

―― Amazon.comなどに対して強みはどこにあると考えるのか。

島田氏 2年前の調査だがEC(電子商取引)化率はまだ全体の7%程度である。残り93%がリアルの商取引でデータ活用がされていない世界だ。そのリアルの情報を活用できるというのが東芝の強みだと捉えている。

―― 海外展開は考えるのか。

島田氏 一気に海外展開を進めることも考えている。そういうことも想定して東芝データの約款の中に「投資業務」というのをあえて入れている。



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