積層造形部品の設計プロセスを最大80%縮小する最適化ソリューション:3Dプリンタニュース
エムエスシーソフトウェアは、積層造形に向けた設計プロセスの完全な自動化により効率化を図る最適化ソリューション「MSC Apex Generative Design」を発表した。積層造形可能な部品の設計案をわずか数時間で作成する。
エムエスシーソフトウェアは2019年12月4日、積層造形に向けた設計プロセスを完全自動化する最適化ソリューション「MSC Apex Generative Design」を発表した。従来のトポロジー最適化ソリューションに比べ、最大80%の生産性向上を目標とし、積層造形可能な部品の設計案をわずか数時間で作成する。
MSC Apex Generative Designは、設計者が境界条件と設計目標を指定するだけで最適な応力分布と重量を最小化できるように、与えられた設計空間内で複数の軽量設計候補を提示する。これにより、設計者は製品のコンセプトを最適化し、付加価値をもたらすための追加機能を使用し、創造的なプロセスに費やす時間を確保できる。
全ての関連したステップが1つのCAE(Computer Aided Engineering)環境にそろうため、設計から積層造形まで一貫して作業できる。
さらに、既存の幾何形状またはメッシュから、簡単かつ迅速にモデルをセットアップ可能だ。設計者は応力分布に基づいて最適化された設計形状から候補を見つけ、その設計評価を同じCAE環境内で行い、ワークプロセスを簡易化し、設計の手戻りを減らせる。
MSC Apex Generative Designで積層造形ソリューションのために作成された形状は、金属製品は「Simufact Additive」、ポリマー製品は「Digimat-AM」といったHexagonの積層造形シミュレーションを用いて造形プロセスを最適化できる。設計者は、選択した材料でプリントし、製造可能な部品の設計形状を生成することで、試作品の作成を削減可能だ。
- 造形ミスを削減し、初回から高品質な3Dプリントを可能にする積層造形向けシミュレーション
Altair Engineering(アルテアエンジニアリング)は、積層造形向け製造シミュレーションソリューション「Inspire Print3D」を発表した。高速かつ正確なツールセットにより、レーザー溶融法(SLM)部品の製造プロセスを設計、シミュレーションできる。
- 最適な造形設計案を導き出す、金属3Dプリンタ向け積層造形プロセス技術
日立製作所は、複雑な形状の部品を手動設計の2倍以上の精度で製造できる、金属3Dプリンタ向けの積層造形プロセス技術を開発した。シミュレーションによる仮想造形を繰り返すことで、サポート体積の削減を含めた最適な造形案を導き出す。
- 製造機器が自動修正しながらパーツの品質を高めるAI機能搭載システム
Markforgedは、製造機器が自動的にプログラミングを調整し、各パーツを設計通りに製造するAI機能搭載システム「Blacksmith」を発表した。フィードバックの連続ループを作り、3Dプリントしたパーツの精度を高める。
- いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。
- 3Dプリンタは臨界点を突破したのか
新たなモノづくりの姿を示す象徴として「3Dプリンタ」は大きなムーブメントを巻き起こしている。しかし、3Dプリンタそのものは既に1980年代からある技術で過去には夢を追いつつも突破できない壁があった。かつての研究の最前線から今のムーブメントはどう見えるのか。東大名誉教授で現在は世界最大のEMSフォックスコンの顧問も務める中川威雄氏に話を聞いた。
- 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.