後は、ソフトウェア側で、このような運動量についての処理を不連続面で行ってくれれば、きちんと解析できるわけです。構造解析でも、通常変位量は節点を通じて伝わりますが、不連続な状況でも伝えることができます。それが俗に言う接触解析になりますが、ユーザー目線ではそのようなアナロジーで考えてみてもよいかもしれません。
冒頭の図1(1ページ目に掲載)で示したように、移動部分と静止部分のメッシュは不連続であるものの重なってはいません。このような不連続面を使用する方法は、計算の精度も高く、安定して解くことが可能ですが、移動する物体の状況によっては使用できない場合があります。そのようなケースについては、また別の機会に説明しますので、ここでは要素移動と不連続面を使用した例題として、迎え角が変化する翼を解析してみたいと思います。
ご覧の通り、静止画だと連続的な変化が分かりにくいので、動画にしてみました(動画1)。
当初、スムーズに流れていたものが、迎え角が大きくなると流れが乱れだし、一定の角度を超えると一気に空気の流れが翼から剥離して、翼の後方で渦を巻いていることが分かります。
今回の解説は以上となります。また次回お会いしましょう! (次回に続く)
水野 操(みずの みさお)
1967年生まれ。mfabrica合同会社 社長。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わった他、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開。2016年に新たにmfabrica合同会社を設立し、3D CADやCAE、3Dプリンタ関連事業、製品開発、新規事業支援のサービスを積極的に推進している。著書に著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.