エポック社は、毎月12〜15種類ものカプセルトイ向け新商品を投入。商品サイクルが非常に早いため、企画メンバーは1人で月2〜3企画を同時に担当しているとのことで(半年で12〜15企画)、企画段階のものも含めると1人で20〜30企画も抱えているそうです。
金型製作のベースとなる原型および3D図面の作成は、商品サイクルが早いことから基本的に外注。生産についても自社工場で行う玩具事業とは異なり、カプセルトイに関しては協力会社を経て、中国にある協力工場で生産するのが基本になっているといいます。
こうしたこともあって、中国工場にパイプを持つ国内の協力会社に原型および3D図面の作成を含めて依頼するケースもあるようですが、かつてはコストの安い中国企業に原型および3D図面の作成を依頼したこともあったそうです。
「でも、感性の違いなのか、例えばかわいい猫のフィギュアを依頼したつもりでも、すごくリアルな猫に仕上がってくることがあるんです。適度な丸みやデフォルメの度合いなどが日本人の感性とはちょっと違うというか。そんなこともあって、今は国内で原型および3D図面を作成して、それを中国の工場に支給するという流れが基本で、最終的な手直しは工場側でしてもらうといった具合で進めています」(佐藤さん)
原型および3D図面の作成依頼に関しては、基本的にエポック社側でイラストと寸法を記載した仕様書を作り、それをベースに協力会社とやりとりをして、原型および3D図面を作成。時には過去に依頼した商品を例に、具体的な指示を出すこともあるそうです。このあたりは、カプセルトイ事業20年の歴史と資産、協力会社との関係性がなせる技なのかもしれません。出来上がってきた3Dデータの確認は3Dビュワーで行い、自社内にある3Dプリンタで試作し、形状確認と同時に、この段階で品質保証部による安全性の確認などが行われます。
また、「カプセルトイができるまで」からは脱線してしまいますが、動き(ギミック)を含むカプセルトイの場合などは、早い段階で動作原理の確認をするために、3Dプリンタで機構試作を作ることもあるそうです。
詳しくは【後編】でご紹介しますが、玩具はもちろん、カプセルトイの開発においても、3Dプリンタをはじめとするデジタルツールの活用は欠かせないといいます。特に3Dプリンタを活用した試作は開発期間の短縮、そしてコスト削減に大きな効果を発揮しているそうで、「今や3Dプリンタがなければカプセルトイ開発は成立しません」と、佐藤さんもその効果を高く評価しています。
以上、【前編】ではカプセルトイ市場の現状、「カプセルトイができるまで」の誕生秘話、そしてエポック社によるカプセルトイ開発について紹介しました。次回【後編】では、カプセルトイ開発の難しさ、エポック社の3Dツールおよびデジタル技術活用について取り上げます。お楽しみに! (【後編】へ続く)
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