とがった商品を企画して、実際に商品化まで持っていくには? 難しい機構の実現とコストを成立させるには? それらのハードルを突破するために重要な「試作」の役割とは? カプセルトイ「だんごむし」の大ヒットを生み出したバンダイ ベンダー事業部の誉田恒之氏が語る。
お小遣いの100円玉を投入し、祈るような気持ちでハンドルを回す――。ごろんと出てきたカプセルを手に取り、(その中身に)一喜一憂したことのある方も多いのではないでしょうか。
個人的には「ガチャガチャ」と呼んでいた幼少期(20円のやつもありましたね)。商標などの問題もあるのでここでは「カプセルトイ」としておきますが、最近では1回300円は当たり前、500円の高額なものも登場し、豊富な商品展開により大人も含めた幅広い年齢層にリーチしています。昔はおもちゃ屋さんや駄菓子屋さん、文房具店などの店先にカプセルトイの装置が並んでいましたが、最近では大型商業施設や家電量販店などでもよく見掛けるようになりました。
そんなカプセルトイ市場で非常にとがった商品を展開し続ける企業があります。そう、バンダイです。
記憶に新しいのは、本物のダンゴムシを1000%スケールで立体化したカプセルトイ「だんごむし」でしょう。お金を入れてハンドルを回すと、「だんごむし」がそのままごろんと出てくるのですからインパクトは絶大です。
昨年(2018年)6月4日の「ムシの日」に発表し、瞬く間にネットで話題となり、第1弾の発売後は品切れ状態が続くほどの超人気ぶり(現在、第2弾も発売中!)。500円という高額商品であるにもかかわらず、これだけの大ヒットを生み出したカプセルトイ「だんごむし」はどのようにして誕生したのでしょうか?
この企画が生まれた背景、そして商品化までのハードルとその解決アプローチはどのようなものだったのか、カプセルトイ「だんごむし」の商品化に携わったバンダイ ベンダー事業部 企画・開発第二チーム アシスタントマネージャーの誉田恒之氏が、アイティメディア主催「ITmedia Virtual EXPO 2019 春」(メカ設計 EXPO)で詳しく語ってくださいました。
詳細は「ITmedia Virtual EXPO 2019 春」をご覧いただく(※)として、ここではその内容のごく一部を簡単にご紹介したいと思います。
※ITmedia Virtual EXPO 2019 春は2019年3月8日をもって閉幕いたしました。
バンダイは1977年、当時20円が主流だったところ、100円という価格帯でカプセルトイ市場に参入しました。ちょうど今40歳前後の方々が生まれたころですね。現在、バンダイのカプセルトイ自販機は全国約36万台が設置されており、市場の約60%を占めているそうです。余談ですがあの「ガシャポン」と呼ばれるあの白い装置(自販機)自体も大人気で、それそのものがカプセルトイになったり、子ども向け玩具や幼稚園児向け雑誌の付録になったりもしています。
肝心のカプセルトイの商品展開ですが、筆者的には「キンケシ」「SDガンダムシリーズ」といったキャラクターものがドンピシャですが、バンダイのオリジナルシリーズなども人気を博しているそうです。また、価格帯も100円から200円、300円、そして500円と幅広く展開。今回の主役であるカプセルトイ「だんごむし」も500円で販売されています。昔の感覚でいうと「うわ、高い!」と思われるかもしれませんが、最近のカプセルトイは本当によくできています。フィギア系のもの(HGシリーズ)は非常に精巧にできており、収集癖が刺激されます。
さて、そんな近年のカプセルトイを見てみると1つ気が付くことがあります。それは商品の大型化です。子ども向けTVアニメの人気キャラクターを採用したフィギア「カプキャラ」シリーズ、そして『機動戦士ガンダム』のザクやガンダムの頭部を精巧に再現した「機動戦士ガンダム EXCEED MODEL ZAKU HEAD」「機動戦士ガンダム EXCEED MODEL GUNDAM HEAD」などがまさにそうで、これらは全て“カプセルレス(カプセルのない状態)”でカプセルトイ自販機から出てきます。
このカプセルレスこそが、ここ最近のバンダイのとがった商品展開を支える1つのキーといえます。これまで捨てていたカプセルそのものを商品の一部として活用できるようにし、通常のカプセルサイズよりも大きな商品を消費者に届けることに成功したのです。
そして、「カプセルレス+●●」のアイデアで異なるターゲットを狙う横展開が進められ、そのバリエーション展開の1つにカプセルトイ「だんごむし」があるわけですが、狙いとしてカプセルトイをこれまで購入したことのない新規層に「斬新さ」と「驚き」を提供したいとの思いがあったといいます。
ではなぜ(よりによって!?)ダンゴムシを採用したのでしょうか? この企画を通す際、周りへの理解をどのように得たのでしょうか? 商品企画に携わる方であれば知りたい内容ではないでしょうか。また、あの丸くなる構造をどのように実現したのでしょうか? 製造コストとのバランスもあるでしょうし、相当苦労したのではないでしょうか。設計、製造の視点からも非常に面白いお話が聞けると思います。
そして、これら「企画」「機構」「コスト」の3つのハードルを突破するのに役立ったのが“試作”だといいます。実際、どのようなチャレンジが行われたのか必見です。
本当はこの記事内でいろいろとご紹介したいところではありますが……、詳しくは「ITmedia Virtual EXPO 2019 春」(メカ設計 EXPO ※)をご覧ください!
※ITmedia Virtual EXPO 2019 春は2019年3月8日をもって閉幕いたしました。
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