メガハウスのキャラクター「爆獣合神ジグルハゼル」の玩具開発でも3Dプリンタが有効活用された。3Dプリンタを導入したことで、悩みの種だった試作コストが削減できた。
メガハウスは、バンダイナムコグループで、子供向けのおもちゃからフィギュア、ホビー商材など、多岐にわたる玩具を企画、開発、製造、販売する企業だ。ルービックキューブやオセロのメーカーとしても知られている。
メガハウスのキャラクター商品は、大きく以下に分けられる。
今回の記事で、モノづくり事例として紹介するのは、自社企画製品「爆獣合神ジグルハゼル」シリーズだ。モンスターをバラバラにしてパズルのように組み替えて遊ぶ組み換え型の玩具だ。
名称のジグルは「自組(じぐ)る」で組み立てること、ハゼルは「爆(は)ぜる」で分解することを指す。「ハゼルゴクウ」「ハゼルサゴジョウ」「ハゼルハッカイ」と、西遊記になぞらえた3体のロボットが合体すると、「ハゼルセイオー」になる。3体のロボットそれぞれも、こまごまとばらしたり組んだりが自在になっている。部品にも、さまざまなギミックが仕掛けられている。組み換えが心地よい感触で、細部までこだわった機構であるため、大人のファンも多いという。
2013年6月18日には、同シリーズ新製品「ハゼルジンオー」も発表。同年6月末に発売予定だという。こちらは、さまざまで個性的なモンスターの数々が組み合わせられる。こちらの部品にギミックはないが、ジョイントを使って自由自在に形状が組み立てられるのが特徴だ。
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⇒ | ハゼルジンオー |
既存のアニメから商品を企画する場合は、アニメの設定や世界観を玩具メーカーが忠実再現することが求められる。一方、ジグルハゼルの場合はそれと逆で、玩具メーカーであるメガハウスがキャラクターを企画し資本を集め、そこからショートアニメを制作する。それと併せてキャラクター玩具も販売する。「既存の作品だけではなくて、自社でもキャラクターを作ってみたい」と現場から声があがり、実現したプロジェクトだということだ。
このプロセス故に、アニメキャラクターにユニークな設定が盛り込まれることになった。
「玩具部品の肉盗みも、アニメの中で忠実に再現したい」というアニメ制作側の意図があり、実際にそれがかなえられたという。
ただし、さすがにネジまでは生々しすぎて再現されなかったようだ……。
過去、MONOistでは、玩具のモノづくり事例としてバンダイ ホビー事業部の「ガンプラ」を紹介したことがある。メガハウスはバンダイの子会社であり、交流もある。設計思想や取り組みは共通している部分が多い。
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メガハウスでは、デザイン画と図面が設計担当者にやってくると、そこから製品の3次元データを作成し、機構設計まで詰めていく。社内では、2次元から設計して3次元モデルを起こす人、いきなり3次元モデルから入る人、さまざまだという。後者はやはり若手に多いそうだ。設計開始から量産までは、約半年。その3分の1ぐらいは量産立ち上げに費やされるという。
同社が使うメインの3次元CADはソリッドCADの「Think Design」。以前はサーフェスCADの「Rhinoceros」もあったそうだが、あまり使う機会がなく、Think Designの方に統一されたそうだ。自社でモデリングするのは、設計物が人間(キャラクター)ではなく、ロボットや筐体など「カクカクしたモノ」がメインであるためだ。
設計が完了すると、金型製作に入る。同社の場合、量産は日本の場合もあれば、中国の場合もある。今回のジグルハゼルシリーズは中国で生産している。現状では、単純にコスト面を比較すればやはり中国が有利だという。
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⇒ | ハゼルジュウベエ |
⇒ | ハゼルジンリュウ |
⇒ | ハゼルヒエン |
⇒ | ハゼルブオウ・ザオウ |
同社の玩具にもさまざまな機種が派生するが、新種を設計する際には、共通部品化や部品の流用は行わないことが多い。例えば、ハゼルジンオーも、ハゼルセイオーからの流用部品はないという。これは共通部品化を徹底していたガンプラと大きく異なる点だ。共通部品化し、必要な部品を集めてくると、金型を別々で用意しなければならなくなり、かえってコストがかさんでしまうからだそうだ。
ちなみにバンダイと同様に、メガハウスも樹脂流動解析は使わないとのことだ。
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