新製品の「AE2100」は、インテルが提供するオープンなディープラーニング推論実行環境である「OpenVINO」ツールキットを搭載しさまざまなAIフレームワークでの学習モデルを用いて推論実行が可能である。さらに、先述した「Movidius Myriad X VPU」を2チップ搭載可能とし高速なディープラーニング推論処理を行える。また、映像解析や波形解析、加速度解析などOKIのAIライブラリーから汎用的なものを搭載して販売されるため、より短期間での利用が可能となる。
さらに、用途によりさまざまなモノに接続する可能性があるため多様な物理インタフェースを搭載。Webブラウザから簡単に設定や保守が行える「WebUI」も標準搭載した。また、OKIが積極的に展開している920MHz帯マルチホップ無線「SmartHop」も搭載しており、センサーをつないだ自営IoT無線ネットワークの構築なども簡単に行える。LTEやWi-Fiなども搭載する。
セキュリティ面については、セキュアブートに対応する他、TPM2.0やアクセス制御機能などを搭載しているという。
坪井氏は「開発コンセプトは、IoTレディ、AIレディ、セキュリティレディである。さまざまな機能が既に用意されていて、使いたいと思えばすぐに使えるということが特徴だ。これらの機能に加え耐環境性能なども実現しつつ、価格はリーズナブルに抑えた」と語る。「AE2100」はオープン価格だが、市場価格は18万円前後を想定している。
「AE2100」は交通や建設、インフラ、防災、金融、製造、海洋など幅広い業種の多岐にわたる業務現場での活用を想定。具体的には「映像による道路交通把握」や「設備以上の予兆監視」「構造物の老朽化診断」などを想定しているという。
例えば、設備の異常診断などでは、1台で音声や振動などさまざまなパラメータにおいて異常診断が可能。PoC(概念実証)などでさまざまなパラメータを測定して効果的な指標やセンサーの設置ポイントを見つける用途などでは「使いやすいだろう」(説明員)としている。
普及に向けてはパートナー企業とのエコシステム構築に取り組むとしている。OKIでは以前から60社に及ぶ共創パートナー、80社に及ぶSmartHopパートナーなどとの協力に取り組んでいるが、新たに「AIエッジパートナー」を設置し、参加企業との協業により普及につなげていく方針である。AIエッジパートナーには既に30社が参加。「パートナー会を開催し、事例の紹介や共同プロモーションなどを展開する。まずは技術の評価や具体的な活用方法などを進める一方で、将来的にはパートナー間の協業なども行えるようにしエコシステムとして機能するようにしていく」と坪井氏は語っている。
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