ただ、協働ロボットで自動化が進んだからといってすぐに生産性向上が進むわけではない。白崎氏は「協働ロボットは、産業用ロボットと比べると当然だが、人間の作業と比べて、作業スピードが遅い。24時間作業が可能だという利点はあるものの、同じ時間で同じ作業をしているのでは人手でやった方が効率がよいという考え方になる。この作業スピードをどう高めるかというのがポイントとなっていた。さらに自動化を行えれば不良が出た場合に不良を作り続けてしまうという課題がある。これを起こさないためにどうするかというのもポイントだった。加えて、ロボットの設定変更により立ち上げ時間がかかるということも課題となっていた」と協働ロボット導入時の課題について述べる。これら3つの課題を一つ一つクリアし、作業効率を実現したという。
作業スピードについては、共通モジュールで設置された2つの協働ロボットで同時に作業を行うことで効率を上げることに成功した。人間が1人で1個ずつ作業するのに対し、2個ずつ作業を行うことでスピードを上げたという形になる。これにより「人による作業と比べても作業が早くなった」(白崎氏)。
不良を出さない仕組みについては、基本的に各作業で毎回検査を行う仕組みを組み込むことで、作業品質を確認できるようにした。画像検査なども活用する。不良が出た場合には作業を止めて、作業員へアラートを出す仕組みを導入することで不良を出し続けることなく、さらに停止時間をできる限り短くできるようにしている。
立ち上げ時間の短縮化については、専用台車を共通モジュールに設置するときに、正しい位置に設置した場合、自動的にスイッチが入る形とした。これにより、すぐに作業パターンを認識し作業を行えるようにしている。
これらの取り組みにより、正味作業に6人がかかっていたところを1人で実現できるようなめどが立ちつつあるという。「作業は基本的にはロボットが行い、人がサポートするようなモノづくりの世界が実現しつつある。既に実績は出つつあるので、これをさらに工場内、他の工場へ広げていきたい」と白崎氏は語っている。
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