次に、積極的後継者候補が事業を継ごうと思う理由や、消極的後継者候補が事業を継ぐことに前向きでない理由を見ていきたい。
まず、積極的後継者候補が事業を「継ぎたい・継いでもよい理由」を見たものが図19である。これを見ると、「事業がなくなると困る人(取引先・従業員など)がいるから」「事業に将来性があるから」と回答した者が多いことが分かる。
一方、消極的後継者候補が事業を継ぐことに前向きでない理由について見ると「事業の将来性」が「自身の能力の不足」の次に多い理由になっていることが分かる(図20)。
さらにこの「事業の将来性」と回答した者と回答しなかった者に分けて、「事業の将来性」以外の前向きでない理由を見たものが図21だが、これを見ると、事業の将来性への懸念の有無にかかわらず、「自身の能力の不足」と回答した者の割合はほとんど変わらない。
これらの結果から、自身の能力に対する懸念は、事業の将来性に対する展望とは関係なく事業継承をためらう最大の障壁であることが分かる。中小起業白書2019では、後継者になる可能性のある者には、早めに自身の能力を見極め、継ぐためにはどのような能力を身に付ける必要があるのかを知ることができるようにすることで、事業承継に前向きになる可能性があると指摘している。
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