ソニーとヤマ発が低速自動運転車を開発、4Kモニターでエンタメ空間自動運転技術

ヤマハ発動機とソニーは2019年8月21日、移動中のエンターテインメントを提供する自動運転車を共同開発したと発表した。名称はSociable Cart(ソーシャブルカート)「SC-1」で、ヤマハ発動機の自動運転技術とソニーの映像技術を融合させた。両社は2019年度内にSC-1を用いたサービスを日本で開始する。車両の一般販売は予定していない。

» 2019年08月22日 07時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ヤマハ発動機とソニーは2019年8月21日、移動中のエンターテインメントを提供する自動運転車を共同開発したと発表した。名称はSociable Cart(ソーシャブルカート)「SC-1」で、ヤマハ発動機の自動運転技術とソニーの映像技術を融合させた。両社は2019年度内にSC-1を用いたサービスを日本で開始する。車両の一般販売は予定していない。

Sociable Cart(ソーシャブルカート)「SC-1」(クリックして拡大) 出典:ヤマハ発動機

 SC-1は車内や車体側面に高精細ディスプレイが備え付けられている。車載カメラが撮影した車両の前後左右の様子や、走行場所に応じたさまざまな映像を投影する他、MR(Mixed Reality、複合現実)表示にも対応している。従来の自動車では提供できなかったエンターテインメント空間を作り出すことで、乗客や車両を取り巻く人々に低速移動の楽しさを提供する。

 イメージセンサーやソナー、LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)でとらえた車両の周辺環境を分析し、最適な運行アシストを行うとともに、性別や年齢などの属性に合わせて道案内や店舗情報、エンターテインメントや広告などを表示することもできるという。

 ヤマハ発動機は電動ゴルフカートや、公道走行が可能な「ランドカー」をベースにした自動運転技術の開発や顧客ニーズの検証を進めている。夜間のゴルフ場における乗車体験サービス「Moonlight Cruise」を期間限定で実施した他、静岡県磐田市では「バーチャルガイドライン」という独自の方式で走行する低速自動運転車の実証実験を2年間行う。ソニーが2017年に発表したコンセプトモデル「New Concept Cart SC-1」の開発にも協力した。

自動運転は電磁誘導方式で

 SC-1の車両サイズは、全長3135×全幅1306×全高1830mmで乗車定員は5人だ。最高速度は時速19km。液晶ディスプレイは車内に49型4Kモニターが1台、車外は55型4Kモニターが4台搭載されている。自動運転は、地中に埋設された誘導線の磁力線を感知して走行する電磁誘導方式で行う。電磁誘導方式はヤマハ発動機が1996年にゴルフカー向けに実用化して以来、国土交通省や経済産業省の実証事業でも使ってきた。

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