2画面ノートPC「ZenBook Pro Duo」を徹底分解して見えたASUS流の品質設計隣のメカ設計事情レポート(10)(5/8 ページ)

» 2019年08月20日 15時00分 公開
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

(4)スピーカー

図17 ビビリ対策をとったスピーカー 図17 ビビリ対策をとったスピーカー ※クリックで拡大

 2つの1Wスピーカーはビスで固定されておらず、2種類の防振クッションで完全に浮いた構造になっている。これは、ビビリ対策を十分に行った設計である。

(5)冷却機構

図18 シロッコファンとヒートパイプ、ヒートシンク 図18 シロッコファンとヒートパイプ、ヒートシンク ※クリックで拡大

 左右のシロッコファンは形状が微妙に異なり、別部品となっている。どちらもこのモデルのための新規部品と思われる。配置的な理由で左右の共通化ができなかったのだろうか。

図19 4つのヒートシンク 図19 4つのヒートシンク ※クリックで拡大

 ヒートパイプには4つのヒートシンクが溶接されている。そのうち3つの材質は銅で、銀色部品はアルミと思われる。冷却効率の問題で銅にする必要がなかったのだと思う。

図20 放熱用シリコンを塗布したIDチップとヒートシンクのビス固定 図20 放熱用シリコンを塗布したIDチップとヒートシンクのビス固定 ※クリックで拡大

 ヒートシンクとICチップの間には、放熱用シリコン(色がグレー)が多めに塗布されている。そして、ヒートシンクが一定の力で放熱用シリコンを介してICチップを押すように、バネ付きビスを使用している。部品バラツキや製造バラツキによる放熱効果のバラツキをなくすためと思われる。また、そのバネ付きビスは色違いで2種類ある。見た目ではその形状的な違いは判別できないが、バネ力が異なると想像する。さらに、ヒートシンクのビス留め穴の近傍に3〜6の番号が振られている。製造での組み立て作業における6本のビスを留める順と思われる。

 一番上の細いヒートパイプは、2つのヒートシンクをつなげている。複数のICチップを全体的に効率良く冷却するためと思われる。

 生産台数にもよるが、このシロッコファンとヒートパイプ、ヒートシンクを合わせた部品コストは3000円以上すると思われる。バネ付きのビスを使用する設計手法と併せ、冷却を非常に重視した設計となっている。

図21 側面とメインディスプレイ方向への排気穴 図21 側面とメインディスプレイ方向への排気穴 ※クリックで拡大

 排気穴は、本体の両側面とメインディスプレイ方向の面にある。もちろん両側面の排気穴の位置とシロッコファンの位置は合わせてある。

図22 シロッコファンの位置と底面カバーの吸気穴の位置 図22 シロッコファンの位置と底面カバーの吸気穴の位置 ※クリックで拡大

 しかし、底面カバーにはシロッコファンの位置に相当する場所に吸気穴はない。底面カバーのデザイン的な理由かもしれない。あるいは、ヒートシンクに接触していない他の電気部品の冷却を配慮した上での最も適した吸気穴の配置なのかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.